この懸仏は、像高26センチで、室町時代の制作と考えられています。台座も含めて一鋳で造られています。像は正面だけをあらわし、背面は空洞になっており、本来備わっていた鏡板は失われています。
この十一面観音像は、頭上の仏面が二段であらわされており、上段三面、下段七面の計十面をいただきます(本面と合わせて十一面)。頭髪は細く耳にかかり、面長で引き締まった表情をしています。仏の身体的特徴の一つである三道(首の三本のしわ)をあらわし、条帛(じょうはく)と呼ばれる、肩からわき腹にかけて斜めに幅の細い布をかけています。
衣文(えもん)にくらべると顔は丁寧に彫られ、左手はひじを曲げて胸の前に花瓶(けびょう)をもち、右手はひざの上にのせて数珠をもつ姿であらわされています。
昭和62年6月11日に旧大島村の文化財に、平成19年6月1日に上越市文化財に指定されています。
なお、大日庵はもとは大島区菖蒲にありましたが、平成23年7月1日に浦川原区有島に移っています。