コハクチョウの繁殖地は、北極海に面したロシアのツンドラ地帯で、毎年10月ごろから日本へ渡ってきます。秋にシベリア北部を飛び立ち、オホーツク海を渡って北海道の中継地へ。さらに東北の湖沼・湿地を通り、日本海側を南下する群れは新潟平野を中心に越冬します。太平洋側では宮城県・福島県さらに関東平野の越冬地へ南下してゆきます。
日本海ルートで南下するコハクチョウは、秋田県の八郎潟、山形県の最上川河口などを中継して、大部分は新潟平野にとどまりますが、一部はさらに南下し、上吉野池に飛来して越冬します。
初めて上吉野池にハクチョウたちが訪れたのは、1999年の冬、70羽余りの小さな群れでした。当時は、まだ上吉野池は銃猟可能で、ハクチョウがいる近くで銃声がすることもしばしば。そこで周辺地域の皆さんがハクチョウを守ろうと運動し、2001年には上吉野池及び周辺の水田が新潟県の特定猟具使用禁止区域に指定されました。
こうして、ハクチョウたちにとって安心して利用できるねぐらが確保できるようになった結果、2001年冬には上越地域におけるハクチョウたちの拠点が大潟区・朝日池から上吉野池に移り、上越地域最大のハクチョウ飛来地となりました。
また、ハクチョウの飛来をきっかけに他の野鳥も上吉野池を訪れるようになりました。
ハクチョウなどの渡り鳥は、警戒心がとても強いため、おどろかしたり、ストレスを与えると、その場所に二度と来なくなることがあります。ルールを守って、野鳥たちが安心して過ごせるようにしましょう。
なお、上吉野池では鳥インフルエンザの発生はありません。発生した場所における野鳥との接し方は「鳥インフルエンザの発生に伴う野鳥との接し方について」をご覧ください。