いせまいり

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年11月26日更新

昔々、あるところに、小さな村があったって。その村の衆が6人でいせまいりにいったって。

朝早―く出掛けて、夕方ある町に着いたてね。みんなで、泊めてくれるところがないか探して、ようやく1軒のうちに、頼んだって。けも、ことわらんちゃってね。仕方がないので、もう1軒のうちに頼んだって。

そのうちには、じいさんとばあさんの2人がいて、あいそよく
「どうぞ、どうぞ、泊まっていってくんない。」
そう言って、泊めてくれたって。6人が夕飯のごちそうになって、先に休ませてもらったって。

みんな寝静まったころ、じいさんとばあさんと、ひそひそ相談を始めたって、
「じいさん、じいさん、あしたの朝、何ごちそうしてやっかいのお」
「そうだのお、何がいいのかのお」
と、2人で話し合っていたって。

6人の中に、1人だけ目をあけて、その話を聞いていた人がいたって。すると、
「半ごろしにするか、皆ごろしにするか」
と、ばあさんがいったとね。これを聞いて、びっくりした1人が、みんなを起こし、
「大変だ、大変だ、じいさんとばあさんが、半ごろしにするか、皆ごろしにするか相談しているぞ。どうする。」
といったら、みんなたまげて、こっそり逃げ出したとさ。

翌朝、じいさんとばあさんが、朝めしが出来たので、起こしにいったら、6人ともいなかったとさ。
「夕べのお客は、キツネかタヌキだったのかのお」
じいさんとばあさんと2人で、しきりに首をかしげていたとね。一方、逃げ出した6人が、隣の村にたどり着いて、「休ませてくれ」って、頼んだって。
「おまんた、ばか早いねかね」と、村の人が尋ねると、
「おらたち泊まった、隣の町のじいさんとばあさん2人で、朝のごちそうのことで、『半ごろしにするか、皆ごろしにするか』と言ったので、逃げて来たんだわね」
と、言ったとさ。すると、村の人は、

「半ごろしはおはぎで、皆ごろしはぼたもちのことだわね」
と、教えてくれたとさね。それを聞いて、びっくりした6人は、戻ってごちそうになろうと思ったけも、いせまいりにいかんかならんので、そのまま出掛けたとさ。いちごばったり。

(語り手 下小船津浜 新保春巳(はるみ) 昭和59年 80歳)


(出典:昭和63年5月30日発行 大潟町史)