サルのよめ

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年11月26日更新

昔々、あるところに、じさと娘、3人暮らしていたって。じさ、毎日畑で草取りしていたって。ある日、じさ、たいそうになって、畑のふちに腰をおろして、休みながら、
「おらちの娘、3人いるんだが、この畑の草を取ってくれるもんいれや、3人の娘のうち、1人くれてやるんだけも」
と、1人ごとを言ったとさ。そこへ、山のサルがひょこんと出て来て、
「じさ、じさ、おれこの草みんな取ってやるわ。そのかわり娘1人、おれのよめにくれんか」
と、言ったとさ。じさ、たまげて、「そりゃだめだ」と言ったが、
「じさのうそつき、じさのうそつき」
と言われて、じさ、とうとうサルに「嫁をよめにやる」と言ってしまったとね。じさ、うちへ帰って来たが、
「大変な約束をしてしまったわい」と、しょんぼりし、とうとう寝こんでしまったとさ。心配した娘たちが、「何か食べるか」と聞くと、
「よ(湯)も、ちゃ(茶)もいらんが、サルのところへよめに行ってくれんか」
と頼んだって。すると、一番上の娘は、「やだ」と、言ったとさ。2番目の娘も、「やだ」と、言ったとさ。3番目の娘は、「そんなら、おれ行ってやるわね」そう言って、サルのところへ、よめに行ったって。
よめに行った娘は、何とか逃げたいと考えて、
「うちのじいさんは、餅が好きだが、うちには臼がないんで」
と、サルに臼をしょわせて、里帰りしたって。途中、川の渕に、きれいに桜が咲いていたので、
「あの桜の一枝を持って帰れば、じいさん喜ぶだろう」
せって、臼を背負ったまま、サルを木に登らせたって。

「この枝か」「いやもっと上の枝」「この枝か」「いやもっと上の枝」
と繰り返しているうちに、サルはとうとう、一番木の上まで、登りつめてしまったとさ。

すると、臼の重みで、枝がポキンと折れ、枝と一緒に、サルも川へ落ちてしまったとさ。そして、「ドンブリコ」「ドンブリコ」と、流れて行ってしまったと。
それで、娘は喜んで家へ帰って、じさ喜んだと。いちごブラリ。

(語り手 下小船津浜 新保春巳(はるみ) 昭和59年 80歳)


(出典:昭和63年5月30日発行 大潟町史)