平成30年度に開催した第27回小川未明文学賞の大賞受賞作「湊町の寅吉」(受賞時のタイトル:「湊まちの寅吉」)が書籍化され、この度、小川未明文学賞委員会から上越市教育委員会に寄贈されました。
応募総数503編の中から、栄えある大賞に輝いた藤村沙希さんと、小川未明文学賞委員会、出版社である株式会社学研プラスの方々から、小川未明の出身校である上越市立大手町小学校(未明が通っていた頃の学校名は「岡島小学校」)にお越しいただき、本の寄贈セレモニーを行いました。
また、藤村さんからは、大手町小学校5年生の皆さんに向けて、御自身が書かれた作品に対する思いや小川未明童話のこと、自分が5年生だった頃の思い出や夢などを語っていただきました。
小川未明文学賞委員会の宮川健郎会長から上越市教育委員会の野澤朗教育長へ、著者である藤村沙希さんから大手町小学校5年生の代表児童へ手渡しました。
時は江戸時代、賑わう新潟湊(みなと)。廻船問屋の息子の寅吉は、弟の文助といたずらをして遊ぶ毎日。しかし、質屋の金兵衛としたある約束から、湊祭りで文助と芝居に挑む事になってしまい―。
藤村さんが用意されたクイズを出して、児童とやり取りしながら語っていただきました。
以前、公民館の手作り絵本講座で自ら制作された絵本を紹介いただいたほか、藤村さんのお子様とともに制作された絵本童話も朗読していただきました。
子どもたちも積極的に発言、質問するなど、和やかな雰囲気で行われました。
未明の出身校である大手町小学校には、未明の代表作の一つである「野ばら」の文学碑があります。1987年に建てられ、これまで子どもたちを見守り続けています。
また、大手町小学校は、上越市出身の児童文学作家・杉みき子先生の出身校でもあります。寄贈セレモニーを行った会場には、杉先生が書かれた書額が飾られていました。
大手町小学校創立90周年(1963年)の際、学校から依頼を受けて作成した詩だそうです。
杉先生の本名(小寺佐和子)で書かれています。
題名の「雲が希望を呼んでいる」は、大手町小学校校歌の1番に出てくる歌詞です。
「 緑のそよ風 森の町
光あふれる 学び舎の
窓べによれば ひとひらの
雲が希望を呼んでいる 」