第26回小川未明文学賞の受賞作決定・贈呈式開催
第26回小川未明文学賞受賞作
上越市出身の児童文学作家 小川未明の文学精神を継承し、新しい時代にふさわしい創作児童文学作品を輩出する目的で平成3年に創設された小川未明文学賞は、今回で26回を迎えました。
この度、最終選考会が行われ、応募総数476編の中から受賞作が決まりました。たくさんのご応募をありがとうございました。
大賞(1編)
「供養絵心寄り添い人
」(長編部門)
(ペンネーム)ちば るりこ さん(60歳 女性 岩手県在住)
賞金:100万円
記念品:「小川未明童話全集」(全16巻 別巻1 大空社)
大賞作品は株式会社 学研プラスから単行本で刊行されます。
受賞の感想
この度は、小川未明文学賞というすばらしい賞をいただき、大変光栄に思います。受賞のお知らせをいただき、信じられない気持ちで一杯でした。折しも、平昌オリンピックで羽生選手や小平選手が金メダルに輝きましたが、私も金メダルをいただいたような気持ちです。執筆を始めて20年余り、書き続けてきて本当によかったと心から思います。
受賞作「供養絵心寄り添い人
」は、10年前、夫が遠野市に赴任した折、遠野の名所や旧跡などを巡り、お寺で供養絵額を見たことから、いつかこれをテーマにした作品をと思い、書いたものです。供養絵は江戸時代から大正時代にかけて、亡き者の供養のため、遺族が絵師に描かせたものです。故人が生きていたらこのようにあってほしいという幸せな姿が描かれています。初めて見たとき、大きな衝撃と感動が走りました。その思いを作中の主人公の心に映し、読者に伝えたいと思いました。
受賞できたのは、私一人の力ではなく故郷の力かもしれません。新潟で小川未明が生まれ育ったように、私の出身地岩手も宮沢賢治や石川啄木など多くの文学者を輩出しております。豊かな自然の中で生まれ育ったことが、発想のヒントを生み出したに違いないと思うからです。これからも故郷の力を信じて、発信して参りたいと思います。
最後になりましたが、選者の先生方、関係者の皆さん、これまで私を支えてくれた家族や児童文学仲間に心より感謝いたします。
優秀賞 (1編)
「瀬戸内少年記海人とルソン
」(長編部門)
土屋 千鶴(つちや ちづる)さん(64歳 女性 広島県在住)
賞金:20万円
受賞の感想
執筆の動機は、2年半前に広島へ転居し、自宅から眺める瀬戸内海の素晴らしい風景に感動しました。また、しまなみ海道の多島美にも魅了され、瀬戸内に関する様々な本を読むうちに中世の海賊や海外交易に興味を持つようになりました。そして交易に関わる島の伝説を読み、島の少年とルソンから連れて来られた少年の不思議な出会いと友情の物語を書いてみようと思いました。
初めて取り組んだ児童文学の長編が、思いがけず優秀賞に選ばれ、大変喜んでいます。小川未明作品は、赤い蝋燭と人魚など純文学的な童話が多く、私はその作風に憧れていましたので、今回の受賞は特別な嬉しさがあります。これを励みに今後も児童文学を書き続けてゆきたいと思っています。
贈呈式(授賞式)
日時
平成30年3月28日(水曜日) 午後6時から8時
会場
株式会社 学研プラス 13階 キャフェテリア(東京都品川区西五反田2-11-8)
内容
- オープニングイベントとして早稲田大学アナウンス研究会学生による未明童話の朗読会
- 大賞・優秀賞の贈呈など
主催等
- 主催:上越市、小川未明文学賞委員会
- 協賛:株式会社 学研プラス
- 後援:文化庁、新潟県、早稲田大学文化推進部、上越教育大学、日本児童文学者協会、日本児童文芸家協会
その他
出席を希望される場合は、文化振興課(電話025-526-6903)までお問い合わせください。