市長記者懇談会を開催しました。
(市長)
本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。
今日で9月30日ですので、あっという間、早いなと思います。27日間の市議会9月定例会がありました。令和元年度の各会計歳入歳出決算認定がありました。補正予算では、議会でも議論になりましたけれども、新型コロナウイルスの感染拡大防止の冊子、協定を結んでいる指定管理者に対する補填、また医療従事者や介護福祉関係の皆さんに対する給付金もありました。決算認定をはじめ全ての議案、条例案件について了承いただけたということですので、早くその効果が出るように執行していきたいと思いますし、そのためにはコロナ関係で事業ができないでいたり、中止したものもありますので当初予算の事業もしっかり見つめながらこの補正予算と合わせて確実に市民の皆さんのためになることをしていければと思います。
新型コロナウイルス感染症について、国では、これからの季節性インフルエンザと重複した場合にどうするか、医療機関の体制も詰めるような指示がある中で、医師会等とも相談しながらやっていくことになりますけれども、これがどういう状況になるか想像がつきません。昨日も東京で200人以上の感染が確認されています。4連休の余波が今後どう影響してくるのか、減少が鈍化している傾向もあってこれがそのまま季節性インフルエンザと重なってしまうのか、専門家ではありませんので心配をしています。担当部局の職員には緊張感をもって業務に当たるようお願いをしています。
明日、10月1日には、私の任期の中で最後の予算編成方針を発表します。国の概算要求が9月末まで延びていて、新聞では100兆円を超えると報じられていますが、今年度でも新型コロナウイルス関係の補正を含めますと160兆円にも膨らんでいます。すでに地方交付税については、前年度比で4,000億円減少するとも報じられています。これは、原資となる国税収入の減少による影響ですが、これを臨時財政対策債、借金にかえて交付税特会を維持するということですので、その辺のことがどうなるのかも含めて、地方財政計画が出てきたときに、地方の財政規模がどういう状況になるのかといったところも調べながら編成する必要があると思っています。しかし、単に縮小させるという訳にもいかないので、財政部局には事情をよく聞きながら予算編成して欲しいと言っています。これからの新しい生活様式も踏まえて経済とコロナウイルス感染症との関係を整理する予算編成になると思います。
それから新聞にもお知らせしていましたが、10月3日に小林古径記念美術館が開館します。新しい古径美術館を作るという事で、平成27年から構想を練ってきました。40年来できなかったものを色々な工夫をしながら、地方創生や市民の皆さんから寄附を頂いたものもある中で着手しましたけれども、ようやくできました。多くの人に上越の文化や歴史を楽しんでいただけたらと思います。私からは以上です。
(記者)
来年度の予算編成の方針について、財源の話もありましたが、任期満了3期目の集大成、総仕上げになると思います。予算編成の事業の柱は何点かあると思いますけれども市長はどのように考えていますか。
(市長)
全国どこでもそうですが、コロナの影響で人々の行動様式が変わってきていますので、確実に収束がくると思います。しかし、コロナの収束が長引いた場合や市民の気持ちが大きく混乱した場合にどういう手当ができるかということを、基礎自治体として大事にしなければなりません。私が話した職員に緊張感を持てというのはそういう意味で、コロナと季節性インフルエンザによる混乱や経済が落ち込んできている状況をどうやっていくか、その辺のことを見計らいながら対応したいと思います。また、市は三セクを相当多くもっていますので、三セクの対応は非常に厳しくなってきています。民間と同じようなサービスをしていますのでその影響は非常に大きいです。しかし、役所だから協定を結んだとおり、ただ補填していくだけで本当にいいのだろうかという議論がこれから出てきますので、そんなことも整理する時期なのだと思います。厳しいときに垂れ流しても、補填したとしても次の再精査に向かわないというような、ただ、事務処理みたいな形になると切りがないということになりますので、どれをどう見ていくのか市民の皆さんに説明しながらご理解いただく努力をしなくてはいけないと思います。
予算は、財源からすると厳しくなると懸念していますが、今の段階ではキャップをかけたりシーリングをかけたりということはせず、市民の声をしっかりと聞いていこうと思います。
(記者)
これから税収という細かい査定が出てくると思いますが、予算規模としては例年とそれほど上下する見通しではないということでしょうか。
(市長)
今年度は、国の補正があり、特別定額給付金が190億円くらいありましたから、1千100億円を超えていると思います。当初予算は900億円台ですから相当延びていますけれども、標準財政規模からすると予算規模としては、900億円から1千億円の間が上越市のだいたいのところだと思います。結果的に令和元年度の決算もそうですし、次の令和2年度の決算も1千億円を超えるということになりますので、財政部局にはその辺のことを踏まえて整理してもらいたいと思っています。
(記者)
柏崎原発の再稼働の話です。規制委員会の審査が終わって、手続き論で言えば再稼働については、残り地元同意だけという状況なのですが、今回改めて柏崎原発の再稼働に対するお考えをお聞かください。
(市長)
私も、吉川区を含めて、当市には原発から30キロ圏内の地域がありますので気にはなっていたのですが、柏崎刈羽原発の7号機は、新規制基準の審査に合格し、安全対策工事の工事計画の審査も進み、最後の保安規定の審査という3つのハードルをこなしてきたので次の段階にいくということになっていますが、それが年明けすぐなのか時期は分かりません。見附市の市議会議員の方を中心に、上越市の市議会議員を含め、UPZの範囲まで同意を求めるという議員研究会も始まったようですので、我々も30市町村で構成する研究会の中でどういう扱いをするのか、もう一つは、県知事が3つの検証委員会の検証が進む中どうするかということだと思います。国の原子力規制委員会の審査の中には、避難に対する審査がなく、その部分は地元自治体に任されていると思います。県の検証委員会の中には避難に関する委員会がありますので、県のレベルで整理されたものを参考に、市町村研究会で議論していく必要があると思います。原子力災害時の避難については、内閣府と県から、市町村研究会が説明を受けていますが、我々が心配なことはきちんと相手に伝え、相手がもう一回持ち帰ってそのことについて回答する、というキャッチボールは進んでいます。そういう形の中で、避難体制の内容が詰まっていくとは思いますが、今の時点では、避難に関する課題が解決されていませんので、もう少し時間がかかると思います。いずれにしても、原子力規制委員会の審査は進んでいるということですので、これは柏崎市と刈羽村、それから、それ以外の市町村の意見を聴く立場にある新潟県がどう判断するか、これは知事自身も同意するのは立地自治体だということはおっしゃっていますから、その判断も見ていく必要があると思います。
(記者)
地元同意の話ですが、今、対象となっているのは県と柏崎市、刈羽村です。原発事故が起きた時の影響が大きいという事から、その周辺である上越市や長岡市にも地元同意の対象を広げるべきだという意見もありますがそれに関してはいかがですか。
(市長)
それは、福島事故が起きたときに、今考えると私が一番に言いだしたのですが、県、柏崎市、刈羽村と東電が結んでいる安全協定に見られる関係性を周辺自治体としても持たないといけないということで、その話をした時に、長岡市の前市長さんが「私が取りまとめをやるからみんなで集まろう」といって30市町村で構成する原子力安全対策に関する研究会が発足しました。発足したとき、安全協定については、紳士協定の性格の中でどうするかという議論になり、県、柏崎市、刈羽村と東電が結んでいる安全協定と実質的に同じ効力のものとしようとの気持ちの中で、集約した経緯があります。原発に近い自治体で一番人口の多い長岡市の市長さんがまとめてくれたのですが、非常に現実味があり、内容も目標としていたものができたと思っています。このような紳士協定である安全協定をどうやって動かしていくのかという事なのですが、その法的位置付けについては、菅総理が、福島原発についても国がしっかりと中に入って地域の復興に向けて考えていくとおっしゃっていますから、どこかで国がイニシアチブをとりながら福島事故を一つの学びとしながらまとめていくことになると思いますし、再稼働に関する評価基準や同意を求める自治体の範囲などについても国が示すべきだと思っています。今回、福島の問題で、インフラ整備がほぼ完了したことから、復興に向けての予算が減額され、新しい施政方針の中にも福島の復興が欠けているというような議論の中でも、菅総理は、福島の復興は国が責任をもってまとめていくという話をしていますから、再稼働に関しても本来そうあるんだろうと思っています。
(記者)
小林古径記念美術館の開館に向けての市長がどういった思いで整備してきたのか、また、開館した後の地域振興、まちづくりに対するどんな役割を果たしてほしいかという思いを教えてください。
(市長)
出身地について、古径さんがなかなか外にはおっしゃらなかったのですが、上越市の大町出身ということが研究で分かって、市は古径さんの作品収集を始めて元の総合博物館の中に、古径美術館を併設しました。他にも地元ゆかりの作家もたくさんおります。富岡惣一郎さんや、柴田長俊さんがおり、色々な文化があった地域ですから、収蔵してもスペース的に観てもらう機会がなかなかないという事も含めて、やっぱり持っている作品を市民の誇りとして観てもらう機会を作りたいとの思いだったのですが、ずっとできないでいました。それで地方創生を含めて色々な議論が出たときに、それならやってみようかという事になったのですが、古径と地元ゆかりの方の作品3,000余点を地元の宝として観てもらう。そのことによって地域の文化の発信ができるというようなことをもって計画づくりをしたのですが、ちょうど博物館を改修すると同時に美術館を作ることになり、ひとつのゾーンとして回遊してもらえるかなと思っています。
古径も最終的にご縁があって絶筆を求めることができ、それから52個ある落款、これも同時に収集することができました。古径さんの長い人生の中で、74歳で亡くなるまで、幼いときから描いた絵を含めて落款を押してありますけれど、その時、その時押してある落款がほとんど当市にあるということで、真贋を見分ける際に何年の時に作られた落款なのかと博物館に照会もあるそうです。全国の皆さんに古径ファンがたくさんおられると思いますので、観てもらうための美術館を設えればと思っていましたので、計画を実行できたと思っています。
(記者)
菅内閣になって河野行革大臣が国の省庁でハンコをなくそうという動きがあります。地方でもそのような動きは進んでいると思うのですが、デジタル決裁についての現時点における市長のお考えや、上越市における現況を教えてください。
(市長)
確かにハンコ行政だということは間違いないと思います。条例一つの決裁も30くらいハンコを押してあるんじゃないでしょうか。そういうものもあれば、例えば、残業や出張命令は電子申請のシステムにしていますので、取組は進めています。
河野大臣がおっしゃったのは内部の行政で意思疎通をきちんと図って、それにメールで意見を言えるような環境を作れればということですので、これからはやはりハンコというよりも行政のやり方、手続きのやり方をどこかで変えていく時代なのだと思っています。そういう手続きの中で省略できるようなものは極力進めていければと思います。昨日、ニュースで聞くと福岡でしたか、自分たちでできるものは全部終わったというのを見ましたのでやればできるんだなと、やるかやらないかの気持ちかなと感じはしましたので、すぐにとはいかないと思いますが、庁内のデジタル化を含めて、関係する部局がありますので、検討する必要があると思っています。
(記者)
少し細かい話になりますが、予算編成とも絡んで、そういったことも大きな金額にはならないと思いますが、新年度予算に盛り込んでいこうという考えはありますか。
(市長)
総務管理部の方でそういうことの芽出しは出てくると思います。内部だけでは、できる職員は何人かしかいないから、外部の力も借りたり、先例を研究したりすることから始まるのかと思っています。
(記者)
市長のお考えは、どの時点でどういう形で示されますか。
(市長)
たぶん今回の予算編成の中にそういう芽出しはあると思います。できることからやらなければいけないと思っていますが、芽出しとしてどれができるか、どこからできるかというのは、まず、条例や規則を調べなければならないと思いますし、署名押印と署名捺印の勉強からしなければならないという部分もあると思います。だから、そういう面では少し研究は必要だと思います。いずれにしても、こういうものは早くやらないと意味がないので、芽出しの予算としては総務管理部になるのでしょうか、色々なデジタル化を含めた取組が予算として出てくると思っています。
(記者)
直近の話で、23日に爆破予告の件がありましたが、あのように全国各地で同じような形で起きていましたが、市長ご自身の一連の対応を含めた感想・所感と、メール自体が22日の連休の最終日に確認されて、翌日が予告時刻であったという、若干の遅れ。そこは、現状のシステムでは致し方ない部分もあると思います。そこの仕組みをどう変えていけるのか、多分にいたずらであったと思いますが、万が一何か起きたときには困るので、そういった部分の考えは今のところどのようにされていますでしょうか。
(市長)
メールを見つけたのは広報対話課長ですが、聞けば、市の代表アドレスには1日に400から500件のメールが入ってくるそうです。いつもそのメールを全部チェックして、メールを見られるのも課長ともう1人か2人しかいないのですが、本当に必要な情報だけを得るという作業をずっとやってきていたのだそうです。1日に400件もあれば、連休明けの処理が多くて本来業務の時間が割かれるため、休み中に整理をしようという、その責任感で出勤して見つけたというのが実情です。私のところには午後8時30分過ぎに電話がかかってきました。その時には当市だけがターゲットだと思いました。そう思っていたら、日が明けると同時にあちこちに出てきたわけです。それがどうも内容的には同じようだということが分かったのです。私が一番心配なのは、目的が何か分からないことです。我々も対策してみようもない、何のためにこのメールが打たれたかが分からないのですね。今回は非常に機敏な対応だったのですが、人によって違うということがあってはいけないので、その辺のことを、メールが見られる人をどうするか、長期の休みに入ったときのメールをどうやってチェックするかというのは考えなければいけないと思っています。外から入ったメールを職員の個人パソコンへ転送するというのは、これも危険性があるということを考えると、どういうものがあるのか、どこの自治体も同じような悩みがあるとするならば、そのことを研究しなければならないと思っています。
(記者)
それについては確か7月だったか、糸魚川市でも同じような脅迫メールがあって、糸魚川市の場合は半日閉庁して、外部からの電話の問い合わせも一切応じませんという体制で、やり過ごしたのですが、このケースはどっちが正解とかではなくて、片や糸魚川市はそういう対応だったけれども、上越市は警戒をしながらも、議会の一般質問はあり、通常の業務を行ったという判断の根拠というか、基準は何ですか。
(市長)
市役所だけではなく、大学や小中学校も対象でした。そういうこともあって、メール内容の信憑性なども警察とも話をしたり色々な知見を元にしながら対応したのですが、その時には厳重な警戒と対応をすれば閉庁する必要はないという判断をしました。他の自治体にも同じような話があるということも含めて、最終的には警察には警戒に当たってもらう、我々もきちんと対応するということで、学校の場合は指定された時間は別の場所に避難を行いました。
(記者)
佐渡汽船の「あかね」の関係について、表立った動きというか結論がまだ出ていない状態で、しばらく続いている中、市としては8月末に市議会で市としての検証を一通り説明されたということだと思います。なかなかその後の動きが見えない中で、県や佐渡汽船、佐渡市も合わせて関係者の協議が続いていると思うのですが、現在の状況というのは市長としてどのような認識ですか。
(市長)
最初に佐渡汽船から聞いた経営の改善策、そして今後取り得る対応というのが、やはり時間が経った時、また色々な人たちが関係した中で、議論で最初に話があったことと、若干違ってきているのではないかと思います。例えば佐渡市長がおっしゃっているように、カーフェリーの「あかね」が一隻なくなるとすると、両津~新潟航路で二隻で走っているのに、ドックに一か月半くらい入ると一隻になるわけです。一隻になったときに佐渡の物流が賄えるのかという議論になり、分析しているのもあるわけです。本当はそうした方が船員も少なくて、ジェットフォイルなら4~5人で、カーフェリーなら15~16人いるというのは、経営の関係で議論すればそうなりますが、実際にそれで成り立つのかという議論がまた違うところに出てきているのかなと私は思っています。その辺の話を佐渡汽船としては経営改善に向かう現実性のあるものに考え方を整理している最中ではないかと。私のところに具体的な話は来ませんが、内容的に詰め直すことが出てくるという話は聞いています。具体的にはこれから佐渡汽船の中で詰めていくのだろうと思います。
(記者)
佐渡汽船は8月末からだんだん期限が延びてきましたけれども、近いうちに結論というのは何かしら出す必要があると思うのですけれど。
(市長)
この新型コロナウイルス禍の決算、令和2年度の佐渡汽船の決算がどうなるかということですが、資本金が8億円ですから、10億円とか20億円の赤字という話が出ていますので、そうすると債務超過になるわけです。上場企業が債務超過になることの大変さも我々は分からなければならないし、そこまで厳しかったのだなという状況は分かってくるのですけれども、その後どうするかという話です。当初は「あかね」を売却して、ジェットフォイルへ変更する方針でしたが、その船が売れる見込みがあるのかも分からないわけです。そういう話が具体的な現実性になると色々な面で状況の変化が出てきたということではないかと私は思っていますから、これから具体的な提案があれば、しっかりと受け止めたいと思います。
(記者)
当初、ここに至る経過の検証、経営状況を含めての検証がなければ判断の前提に立てないというお話だったと思うのですが、先月末で上越市としての検証結果をまとめられたと思います。あれをもってして、上越市としての検証としては一応一区切りされたという認識になりますでしょうか。
(市長)
例えば船を買うときに船の会社は佐渡汽船が決めました。その時に、決めた一番大事なところは何かと言ったら、これは燃費効率がいい船であり、修理代が非常に少なく済むのですと。双胴船で揺れないのだと。そういう話があって船を決めたと。それが今になると、双胴船が揺れる、燃料費がものすごく高い、修繕費がものすごくかかりましたと説明しているわけです。当初の時にどうしたかという話と、結果をこうですという話を、我々が検証と受け止めれば検証なのでしょうけれども、私に言わせれば、何でそうなったのかという、そこの間に入るのが、本当の検証だと思うのだけれども、その検証が見えないのですが、結果は今犯人捜しをしたって全く前に進むわけではないし、物事が改善するわけでもありませんから、現実として押さえる。その上で、次に繋げるときにはちゃんと辻褄と、会社の再建と、船を動かすことによってどういう影響があるか、どういうことを考えているか、佐渡の観光をどう考えるか、生活の航路としてどう考えるのか。これは直江津~小木だけではなくて両津~新潟にも関わることです。当初、我々が補助したことに対して、我々自身も納得し、議会にも市民にも納得してもらうための取組というのは佐渡汽船にも必要だという話を、ずっと私はしています。今後、当初の提案の内容から現実として変わってきている内容について我々に正式にお話があるのだと思います。そのお話を受けて、これでいいのか、また将来どうなるのか、地域の皆さんにどう評価してもらうのか。船を売却してしまえば、船に出した市の補助金はどうなるのかという話も次に出てくると思いますが、まだ船がどこに売れるという話を聞いてもいませんから、その辺のことがこれから出てくるのだろうと思います。いずれにしても佐渡汽船が破綻するようなことがあっては、これは大変なことですから、このことが大前提になることは致し方ない。そのことを中心に置きながら、今までの我々がやってきたこと、知恵をしぼってきたことが今回破綻するという前提を考えていく必要があると思います。
(記者)
三セクについてですが、県内全市町村のコロナを受けての損失補填の状況について、上越市が金額的に一番多かったということです。上越市の施設あるいは三セクの数が多いということが必然的にそういうことに繋がったのだろうなと分かるのですが、議会でも今回話題になったところもありましたけれども、三セクについては積年の課題と言いますか、今後も躊躇なく切り込んでいくというような方針も出されているかと思います。議会の答弁をうかがっていると、取組を進められていますけれど一方で慎重に進めていくというようなお考えも述べていらっしゃったと思うのですが、今後のスケジュール、三セク改革みたいなところは市長の中でどんなスケジュール感で進められる考えですか。
(市長)
この春、キューピットバレイがあのようになりました。施設は市のもので、温泉施設も市のものです。そこを指定管理料というお金を出して、市が作った三セクで運営するということを30年間続けてきたわけです。作った頃の非常に良かった時代から30年経つと、そういう人たちの気持ちも変わってくる。30年前は、車で温泉施設を廻っていました。それが30年経ったらそのような人はいなくなってしまったのです。時代が変わっている中で、その施設そのものをどうやって運営していくかという、そこにメスが入らなかったのが一番問題なのだろうと思います。そのうちの10年間、3分の1を私自身の責任にしているのだけれども、そこに手を入れなければいけなかった時に市町村合併がありました。合併が起きたことによって、それぞれの地域にあることは大事にしましょうとスタートしたわけだから、自分のところを潰す、自分のところを残すという話には、前の市長さんのときはなりづらかったと思います。だから私になったときに、残念ながらお客さんが来なくなった、大島のあさひ荘、浦川原のゆあみ、清里の坊ヶ池の施設、これはお客さんが来ないのだから、続けていったら後の人たちの、我々の子や孫に対する負担になるだけですよと、いつかやってくるのだからという話の中で、地域にお願いしながら理解を得て、それでも大変なものでした。合併したときにはみんなが一緒で、吸収合併だけれども対等の想いでやってきたのに、自分のところだけ潰すのかという話は、地域出身の議員先生方全てが同じことをいうわけです。そういうことがずっと今でも続いているということを考えると、そういう問題をこれからやっていくためには、民間が指定管理料がなくて、頑張れるかと言ったら、多分頑張れないと思います。温浴施設7つ8つの指定管理料だけで3億円を超えていると思います。民間なら3億円稼いでかつ儲けを出さなければいけないのに、3億円を超える指定管理料を出していてまだ赤字のところがある。この矛盾というか、こういう公の施設をどのように考えるかというのを、市民の皆さんにご説明申し上げて理解いただく努力をしていく、その過程がなければ、多分ただ混乱を起こすだけです。
今も思い出しますけれど、牧区の深山荘は以前は直営でした。冬場に施設が休止になるとそこの料理人の方は学校へ配置されて、給食調理の担当をされていました。そういう状況を見たときに施設として本来どうであろうかという議論をしていく時期もあったのでしょうが、合併の中での地域の皆さんの気持ちが一つのものになるのは難しい時期だったのではないでしょうか。良い悪いではなくて、そういうことがあったのだろうと思います。合併に携わらなかった、関わりのなかった私みたいなものが、非難を受けても甘んじて受け入れるのが私の立場だったと思っています。市民の皆さんも分かっているけれども、寂しいから分かりたくないということの連続だったのではないかと思っています。色々な面で言われますけれども、それは私の仕事かなと思っています。
(記者)
合併から15年が経って、今市長が言ったような自分のところを潰すのかというところを1つ乗り越えて、市民、各地域が冷静に受け止められるような土壌というか、そういう時期になって来たということなのか、そこの反発は受けながらもあえて進めなくてはならないのかというどちらなのですか。
(市長)
私の感じですが、例えば柿崎にハマナスというホテルがあり、そこに日帰り温浴がありました。それが相当な時間が経って古かったので、お湯が出なくなったこともあって、そこを廃止すると。廃止するときに地元の人たちからはバスを出してほしいという話もありました。だけど考えてみると、バスを出してほしいといった人は根拠はないのだと思います。そうしてもらわないと困るといったのですが、地元の人の利用率はほとんどないのではないでしょうか。30年という時間が経ってしまうというと、「おらが施設」と言葉ではそういってもその感覚をどこまで地域の人が持っておられるか、地域協議会にかければそういう話が意見としては出るので、それは正しいと思います。意見としては良いと思うのですが、それが本当に地元の皆さんが使ってくれるかという話になるのだと思います。これは例が良くないかもしれませんが、バスも同じだと思います。バスがなくなったら困るという人に、バスに年にどれくらい乗りますかと聞いても、免許を持っているからバスには乗らないという話ですよね。そういうことが現状だと思うと、市民の皆さんに理解してもらうためにはどうしたらいいのかという議論が必要なのかなと私は思っていて、この議論を避けてしまうと、多分本当のことが地域に伝わらないし、地域から本当のことが上がってこないという感じを受けています。これは相当なお叱りを受けることもあると思います。年間パスポートを使って毎日来ている人に関しては大事な施設です。そういう人たちの気持ちも分かるから、どういう風に施設があるべきかと思っています。
(記者)
三セクは地元にとっては必要だ、大切だというのは分かるのですが、一方で今回の減収補填もそうですけれど、一般財源が食いつぶされてしまうわけです。そうすると本来の福祉なり、子育てなりシティセールスなりに使えたかもしれない財源が最終的に毎年数億円単位で出るということから、そこをどう考えるかということかと思います。
(市長)
例えば冬に板倉区へ行ったのですが、若い学生さんみたいな人達が、ロッテアライリゾートが出来たから、東京から滑りに来たのだけど、高くて泊まれないから、自分たちでネットを見てやすらぎ荘を利用していました。若い人たちはこういうふうにも使うのだと思いましたが、時代の色々な変化の中で急成長する時代ではもうないのだと思います。
安塚区の久比岐野の浴室を改築しています。スキーに来る人は日帰りで入る人もいるのでしょうが、地元の人たちがどれくらい使ってくれるか、グリーンシーズンに地元の人たちがどれだけあそこに足を運んでくれるのか。なければ困るといった皆さんを含めて、2万5千人を超える署名が集まったわけですから、スキー場を残してほしいということと同時にスキー場でないグリーンシーズンの時にどれだけあそこの施設を活用いただくかというのも、働きかけなければならないと思います。
以上