全国学力・学習状況調査の結果概要
印刷用ページを表示する 掲載日:2019年11月29日更新
本調査の目的
- 国が、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る。また、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。(文部科学省の実施要項から)
- 上越市教育委員会が、全国や新潟県の状況との関係において、教育施策の成果と課題を把握し、その改善を図るとともに、取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。
- 各学校が、児童生徒の学力や学習状況を把握し、児童生徒への教育指導や学習状況の改善等に役立てる。
対象
国立・公立・私立学校の小学校6年生、中学校3年生
上越市における調査の対象校と参加した児童生徒数は、小学校50校1,548人、中学校22校1,486人
上越教育大学附属小・中学校、県立直江津中等教育学校の調査結果は上越市教育委員会が集計する結果の中に含まれておりません。
内容
教科に関する調査(小学校:国語、算数 中学校:国語、数学、英語)
出題範囲
調査する学年の前学年までに含まれる指導事項を原則とし、出題内容は、それぞれの学年・教科に関し、以下のとおりとする。
- 身に付けておかなければ後の学年等の学習内容に影響を及ぼす内容や、実生活において不可欠であり、常に活用できるようになっていることが望ましい知識及び技術等
- 知識及び技術等を実生活の様々な場面に活用する力や、様々な課題解決のための構想を立て実践し評価・改善する力に関わる内容
調査問題
上記1と2を一体的に問うこととする。出題形式については、国語及び算数・数学においては、記述式の問題を一定割合で導入する。英語においては、「聞くこと」、「読むこと」、「話すこと」、「書くこと」に関する問題を出題し、記述式の問題を一定割合で導入するとともに、「話すこと」に関する問題の解答は、原則として口述式によるものとする。
生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査
- 児童生徒に対する調査:学習意欲、学習方法、学習環境、生活の諸側面等に関する調査
- 学校に対する調査:指導方法に関する取組や人的・物的な教育条件の整備の状況等に関する調査
調査日
平成31年4月18日(木曜日)
その他
- 本調査により測定できるのは学力の特定の一部分であり、学校における教育活動の一側面に過ぎないことをご理解ください。
- 本調査の詳しい実施要領等については、文部科学省のホームページからご覧になることが可能です。
文部科学省ホームページ(外部リンク) - 新潟県の現状は、義務教育課のホームページからご覧になることが可能です。
新潟県教育庁ホームページ(外部リンク)
調査結果の概要
教科に関する調査(国語、算数・数学、英語の平均正答率との比較)
- 小学校:国語は全国平均正答率を上回り、県平均正答率を下回る。
- 小学校:算数は全国平均正答率を下回り、県平均正答率と同程度である。
- 中学校:国語は全国平均正答率と同程度である。また、県平均正答率を下回る。
- 中学校:数学は全国平均正答率及び県平均正答率を下回る。
- 中学校:英語は全国平均正答率及び県平均正答率を大きく下回る。
生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査
児童・生徒に対する調査
小学校
- 先生との関係は良好であり、自分のよさを認めてもらっているという意識は高い。規範意識が高く、学校のきまりを守ろうと努めている。生活習慣は整っているが、全国と比較して家庭での学習時間が短い傾向がある。地域行事に積極的に参加し、地域をよくするために何をすべきかを考える割合が高い。
中学校
- 先生との関係は良好であり、自分のよさを認めてもらっているという意識は高い。話合いを通して解決方法を見いだして主体的に取り組む良さを実感している。学校のきまりを守ろうと努めている。生活習慣は整っているが、家庭での主体的な学習の取組に課題がある。
小学校・中学校に対する調査
小学校
- 児童が主体的に取り組めるよう、課題の内容や提示方法等を工夫している。各教科等の学習内容の関連を図り、指導の工夫を行っている。教職員が学校課題を共有し、校内研修に取り組んでいる。保護者や地域と連携した見守りや学習支援が効果を上げている。
中学校
- 生徒が主体的に取り組めるよう、課題の内容や提示方法等を工夫している。学級経営の状況や課題を全教職員で共有化し、学校として課題解決に向けて組織的に取り組んでいる。学校生活をよりよくするための生徒同士の話合いを重視し、課題方法などを合意形成できるような指導に努めている。学校運営協議会を生かして、保護者や地域と連携し、生徒の支援に努めている。
教科に関する調査結果の詳細
全国との平均正答率の比較
比較した結果 | 偏差値 |
---|---|
大きく上回る | プラス5以上 |
上回る | プラス1以上プラス5以下 |
同程度 | マイナス1以上プラス1以下 |
下回る | マイナス5以上マイナス1以下 |
大きく下回る | マイナス5以下 |
小学校6年生
全国 | 上越市 | |
---|---|---|
国語 | 63.8 | 上回る |
算数 | 66.6 | 下回る |
中学校3年生
全国 | 上越市 | |
---|---|---|
国語 | 72.8 | 同程度 |
数学 | 59.8 | 下回る |
英語 | 56.0 | 大きく下回る |
各教科の概要及び授業改善のポイント例
国語
国語の概要
小学校6年生
- すべての領域で全国平均正答率を上回っています。特段低い領域はなく、学習内容の一定の定着が見られます。
- 文中の意味に即した漢字を記述する問題の正答率が、全国平均正答率に比べて低くなっています。
- 「かぎらず」を漢字に直す問題の正答率が、全国平均に比べて低くなっています。
中学校3年生
- 特段に低い領域等はなく、学習内容の一定の定着が見られます。
- 文章の構成や展開、表現の仕方について自分の考えをもつ問題の正答率が低くなっています。
国語の授業改善のポイント例
小学校6年生
- 漢字の学習指導では、日常的に文や文章の中で適切に使うことができるようにすることが大切です。そのためには、新漢字の練習を繰り返し行うだけではなく、短文づくり等の学習を取り入れ、文章の中で漢字のもつ意味を考えながら正しい使い方を習得することが大切です。
中学校3年生
- 説明、解説、論説などの説明的な文章を読むときは、文章の構成や展開をとらえることが大切です。
- 簡潔な述べ方や丁寧な述べ方、断定的な述べ方や婉曲な述べ方、さらに中心的な部分と付加的な部分との関係や事実と意見との関係などの文章表現の仕方について考えながら読むことが大切です。
- 文章の特徴を把握し、これまでの読書経験や体験などを踏まえ、内容や表現を想像、分析、比較、対照、推論などによって相互に関連付けて読むように指導をすることが大切です。
算数、数学
算数、数学の概要
小学校6年生
- 特段に低い領域等はありませんが、経年比較では、全国平均正答率に比べ少しずつ下降傾向が見られます。
- 加法と乗法の混合した整数と小数の計算をする問題の平均正答率が全国に比べて低くなっています。
- 減法の場合を基に、除法に関して成り立つ性質を、言葉を用いて記述する問題の正答率が低くなっています。
中学校3年生
- 昨年度までのA問題に当たる基本的な問題の正答率が全国に比べ大きく下回っていることから、知識・技術を活用する問題だけでなく、知識・技能の定着にも力を入れていく必要があります。
- 基本的な問題である「連立二元一次方程式を解く問題」、「平行移動したときの移動距離を求める問題」、「反比例の表から式を求める問題」、「簡単な場合についての確率を求める問題」が全国平均正答率より低くなっています。
- 数学的な結果を事象に即して解釈し、筋道を立てて考え、事柄が成り立つ理由を説明するような発展的な考察が必要な問題の正答率が全国平均正答率より低くなっています。
- 表を活用して、数学的に処理する問題の正答率が全国平均正答率より低くなっています。
算数の授業改善のポイント例
小学校6年生
- 計算の順序についてのきまりは、単に暗記させるだけではなく、具体的な場面と関連付けながら確実に理解できるようにすることが重要です。
- 数量の関係に着目し、計算に関して成り立つ性質を見いだしたり、数や場面を変えても計算に関して成り立つ性質を活用できるかどうかを考察させたりすることができるようになることが大切です。
数学の授業改善のポイント例
中学校3年生
- 意図的・計画的に、過去の学習内容を復習したり確認したりする機会を授業に取り入れていく必要があります。
- 問題を発展的に扱うことを授業に取り入れたり、問題の条件を変えて新たな問題を作らせ、それを解決する学習を取り入れたりしていく必要があります。
- 生徒が主体的に自分の考えを伝え合うような授業展開を心掛け、数学的な見方・考え方が高まるような指導の工夫が必要です。
英語
英語の概要
中学校3年生
- 全ての領域で、全国平均正答率を大きく下回っています。特に、「聞く・読む」に比べて、「話す・書く(発信すること)」に課題があります。
- 日頃の英語学習の中で、既習の語彙や文法などを駆使して、自分の考えや思いを表現するといった「話す」活動が十分にされていない傾向がうかがえます。
- 月日や現在進行形といった基本的な表現での応答でつまずいている状況があります。
- 「聞く・話す」という対話の中で、即興で応答することに課題があります。また、基本的な語や文法事項などの知識を活用することができず、自分の考えや思いを伝えることに課題があります。
英語の授業改善のポイント例
中学校3年生
- 生徒の関心・意欲を高める授業を行う必要があります。特に、学習したことを生かして生徒が主体的に取り組む活動を取り入れた授業を行っていくことが大切です。
- 対話を中心とした言語活動を繰り返し行うことは、言葉を覚えたり、英語を使うことに自信をもったり、表現力(英語で発信する力)を高めたりすることにつながります。授業の在り方を大きく改善する必要があります。
- 文法は言語活動の充実で身につくものであるので、文法の理解や練習の時間と、実践的な言語活動を行う時間とのバランスを考えて指導にあたることが大切です。
生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査結果の詳細
調査結果は印刷用ファイルをご覧ください。
今後取り組むこと
学校
日々の授業改善への一層の取組
- 自校の結果分析等を基に、児童生徒が意欲的に取り組む授業づくりを全校体制で行います。
- 児童生徒一人一人の実態を把握し、教育委員会が作成した「授業改善、学力向上リーフレット」を基にしながら、どの子にとっても「分かる」、そして「楽しい」と実感できる授業づくりに取り組みます。
家庭学習の取組へのきめ細かな支援
- 授業改善を生かし、主体的に取り組めるように家庭学習を支援します。
- 家庭学習の質と量の確保のため、実態に応じた宿題を課すとともに、宿題以外にも主体的に学習に取り組むことができるように、具体的な指導を行います。
その他
- 携帯電話やスマートフォン、テレビやゲームなどの利用時間も含め、家庭における時間の有効な活用について、保護者と連携しながら指導します。
教育委員会
- 毎月の学校訪問や要請による訪問を通して、どの子も「分かる」、「楽しい」授業づくりについて、「授業改善、学力向上リーフレット」を基にしながら、課題提示や発問、板書の仕方など、具体的な支援を進め、教員の授業力向上を図ります。
- 実践的な授業研究会を中心に、授業力向上のための研修会等を開催し、授業改善に結び付く有益な情報を各学校へ提供します。
家庭・地域の皆様へ
- これからも、早寝・早起き・朝ご飯で、家族みんなで爽やかに1日をスタートさせましょう。
- お子さんが家庭学習に安心して取り組める時間と場所の確保など、学ぶための環境づくりをお願いします。また、家庭学習や余暇など、時間を有効に活用して充実した家庭生活ができるよう、相談にのったり声をかけたりするようお願いします。
- 携帯電話、スマートフォン等と接触する時間は、今後ますます長くなることが予想されます。ご家庭で使用のルールをきちんと定め、家庭学習の習慣づくりに努めながら、メディアよりも親子のふれ合い、地域の人とのふれ合いの時間を大切にしましょう。
- 授業参観や学校行事でのお子さんの姿を家庭で話題にし、親子のコミュニケーションの時間を取りましょう。