あったとさ。昔、キツネとカワウソと、えさを探しに出たって。キツネがカワウソに、「どうして魚とる」って聞いたって。そしたら、
「そりゃ、わけない話だ。あさげ、氷ったとき早く起きて、川へ行って、尾っぽを下げていれば、魚つかまる。そうしたら、あげればいいんだ」
と、カワウソは、本当らしく言ったって。
キツネは、それをほんとにして、天気のいい日、川へ行って、尾っぽを下げていたって。そしたら、川がすっかり氷りついちゃったって。
いよいよ、あげようと思っているうちに、東がすっかり白んできて、人がぽつぽつ通るようになったってね。
そこへ、子どもが犬を連れて通りかかり、キツネがいるんで、騒いだてね。キツネはおっかなくなって、いそいで尾っぽを引っぱったって。だけど、尾っぽが氷りついちゃって、なかなか、のけてこねんだってね。たまげたキツネが、
「エンサラコンコン、ソラコンコン。オオヨもコオヨも、はなしてくれ。エンサラコンコン、ソラコンコン」
せって、尾っぽを、ぐっと引っぱったてね。
そしたら、キツネの尾っぽが、ペロペローと、皮むけちゃったて。キツネは、痛くて、痛くて、コンコン、コンコン泣きながら、山へ逃げていったとさ。
犬は、一生懸命追っかけ、追いつきそうになったので、キツネは、犬に、コンジンベをひっかけたてね。犬は、くさくて、くさくて、くさくて、きりきりまいして逃げだしたとさ。
それで、キツネは助かって、山へ逃げていったてね。いちごブラリ。
(語り手 渋柿浜 渡辺ハツイ 昭和59年 85歳)
(出典:昭和63年5月30日発行 大潟町史)