会社勤務したのち、東日本大震災を機に、父方の実家のある上越市へ移住。約2年間新潟市にて研修を受けて上越市に戻り、ぶどう園を開園した。夫婦二人で「龍池園」を経営し、除草剤を使用しない「人にも環境にもやさしいぶどう作り」を信念としている。
東日本大震災を機に、東京で帰宅難民の経験や食料の枯渇、交通の寸断などを目の当たりにし、自身のこれからを考えた結果、移住してぶどう栽培を行うことを決意しました。
経営規模:醸造用ぶどう110アール、生食用ぶどう10アールの栽培に取り組んでいる。
主に醸造用ぶどうを出荷し、生食用のシャインマスカットやピオーネなど、インターネットや直売所で販売している。
春~夏は農繁期にあたります。5月から7月はぶどうの育成時期であり、夫婦で分担して作業を行っています。現場では、防除作業、誘引、摘心、ジベレリン処理(種抜きの処理)を行います。家事や育児は夫婦で協力し、できる方が対応しています。朝早くから作業を行うため、1日の始まりは早いです。
ぶどうの持つ力を最大限に発揮できるようにすることを大切にしています。そのために先輩栽培者に話を聞き、書物も読みます。何よりぶどうをよく観察し、ぶどうと向き合うための努力を惜しみません。
作物は言葉を話すことができませんが、毎日よく観察し、向かい合っていくうちに、今がどのような状態なのかわかるようになってきます。ぶどうが気持ちよく育ってくれるよう、私たちはそのサポートをしているに過ぎないと思っています。そのぶどうとの関わりが、とても楽しいです。向かい合えば向かい合うだけ、ぶどうはいろんなことを教えてくれます。
食べてくれた皆さんから「美味しい」と言っていただいた時はやはり嬉しいです。
見学に来た小学生や、自身の子どもが、目を輝かせながらぶどうを食べているとき、やっていてよかったと心から思います。
上越地域がぶどう産地として盛り上がっていくよう、高品質なぶどう作りに励み続けたいです。
「就農を考えている方」は自分の作った作物を自分で売って生計を立てていきたいと考えている方がほとんどだと推測します。しかしながら、自身の栽培した作物で生計を立てていくということはかなり大変なことです。
親元就農・新規就農、法人就職からの独立など、農業の始め方は人によりけりだと思いますが、まずはしっかり生きていけるだけ収入が得られるか、よく考えて欲しいと思います。生きていけるだけの収入は、家族構成(農業専従者の有無、子どもの有無など)によっても違うと思います。趣味で農業をしたいなら、週末農家というやり方もあります。また夫婦なら、自身は農家、配偶者は勤め人というやり方もあります。
天候には左右されますが、自然の中で作物を作るという営みは素晴らしいものです。私にも夜遅くまで働いていた時代がありましたので、余計にそう思います。自然の中にいて、作物とふれあい向き合うことで、なんだか自然の一部に加えてくれているような気がして私が勝手に感じているだけですが、いつもそんなことを思いながらぶどうと向き合っています。
美談で終わらせないために、ぶどうのみでしっかり生計を立て、上越市を産地として盛り上げていけるよう、私も頑張りたいと思います。