牧区出身。農業高校を卒業後、新潟県農業大学校へ進学。平成28年4月、荻谷畜産株式会社へ就職。令和2年8月から牧区の牛舎で、自身が所有する牛を飼い始める。令和3年度で就農6年目となる。
私が幼い頃、祖父が牛を飼っていたため、物心がついたときから牛が身近な存在でしたが、祖父が体調を崩してからは、自分の家では牛を飼わなくなりました。しかし、小・中学校の授業で、昔、牧区に牛がたくさんいた(旧牧村の時代には約1,500頭)ことを学び、牧区から牛がいなくなるのは嫌だということや、元々生き物が好きということもあり、高校生のときには将来、畜産をやろうと決めていました。農業大学校在学中、現在勤めている会社の代表から声をかけられ、就職することになりました。
飼育頭数:30頭(委託牛を含む)
牛肉を生産する「肉用牛経営」では、一般的に、母牛に子牛を生ませ、その子牛を育てる「繁殖」と、市場で買った子牛を大きく育てる「肥育」の2つの工程があります。私が取り組んでいるのは「繁殖」です。また、飼養しているのは「繁殖」用の黒毛和種がほとんどですが、くびき短角牛(越後上越・短角牛)として出荷するため、あか毛和種も飼養しています。
午前中は牛に餌を与える作業や堆肥出しの作業を行い、午後は餌の補充などを行います。「繁殖」では、牛を太らせずにコンディションを維持させるため、餌は草(粗飼料)を主としています。また、確実に子牛を生産するために、牛を日々観察し、体調の変化や発情を見逃さないようにしています。
自分にとって、地元に牛舎があることや、牧区産の牛肉(くびき牛)を販
売できるということは誇りであり、日々、牛の飼養に取り組む上でのモチベ
ーションになっています。
また、地域の人々との関わりがあることは、農業をする上での大きな魅力
だと思います。特に、牧区の昔の様子を知る人から、牛舎を見ると懐かしい
ねと言われたり、畑で野菜を栽培する住民から、たい肥をくれないかと声を
かけてもらえたりすることにより、地元の人たちとコミュニケーションを取る
ことができるのは楽しいですね。
自分が所有する牛舎の収入を確保するため、補助制度等を活用して、牛舎を増築し、飼育頭数を拡大させることが目標です。
今後は、市内の繁殖牛の生産者を増やすため、畜産のやりがいや魅力を市内外の人へアピールしていきたいですね。具体的には、畜産に興味を持った若い年齢層の人に自分の牛舎を見学してもらったり、同年代の畜産農家に対して、雪国に対応した牛の飼育方法等を指導したりしていくことを考えています。また、地元の中学校を訪問し、畜産についての授業もやってみたいですね。