昔あったとさ。ばちゃとせがれと、二人で暮らしていたってさ。ばちゃ、せがれに嫁をもらってやったって。そのせがれ、嫁のうちへ、泊まりにいったって。嫁のうちでは、とってもおいしいダンゴ作ってくれたって。
「これ、なんてもんだね」と聞いたら、
「これはダンゴってもんだわね」と、教えてくれたと。
せがれは、これは忘れらんないと思い、帰る道々、「ダンゴ、ダンゴ、ダンゴ、ダンゴ」と、口の中でとなえながら、歩いたって。
途中、小さな川があったので、その川を、「ポーイ」とまたいだひょうしに、今まで、口にとなえていた、「ダンゴ」が、「ポイトコナー」に変わっちゃたって。
そして、「ポイトコナー」「ポイトコナー」といいながら帰って来たって。せがれがうちに着くなり、ばちゃに、
「ポイトコナー作ってくれ」
といったら、ばちゃは、
「ポイトコナーってなんだ」
といったので、
「ポイトコナーしらんかー」
と言って、そばにあった火ばしで、ばちゃの頭はたいたって。そしたらばちゃ、
「このやろが、おれの頭はたいて、ダンゴみたいなコブできたわいな」
と、言ったとたん、せがれが、
「それ、それ、それさ、そのだんごさ」
と言ったとさ。いちごブラリ。
(語り手 渋柿浜 佐藤コトノ 昭和59年 83歳)
(出典:昭和63年5月30日発行 大潟町史)