顔の見えるサービスを素早く提供する中小企業・小規模企業。核家族化や高齢化が進む地域では、年々、その大切さが実感されています。
また、市内には、自動車や家電などの部品を作るためミクロン(1,000分の1ミリメートル)単位の高い精度で金型を製作する企業や、400年以上続く老舗の和菓子店など、全国に誇ることのできる中小企業・小規模企業が多くあります。
市民の皆さんが、企業の大切さや、そこでの働きがいについて考え、家族や友人との話題にしたり、地域の商店や、地元産の農産品、商品・サービスを利用、購入したりすることで、中小企業・小規模企業の皆さんを支え、元気づけることができます。
また、子どもたちが地域に愛着や誇りが持てるよう、家庭で皆さん自身のお仕事や、地域の企業の良さを語り合いましょう。
そして、中小企業・小規模企業の振興について、市民みんなで考えて、思いを共有して、それぞれできることに取り組んで、中小企業・小規模企業を振興していきましょう。
市内企業の大半を占める中小企業・小規模企業は、地域に根差して雇用を守り、また、創意工夫に富み多岐にわたる製品・サービスの提供や多様なニーズへの臨機な対応など、それぞれが持つ力と技術などを発揮して、地域経済の発展並びに地域産業の振興をもたらすとともに、市民の日々の暮らしを支える重要な存在です。
市では、中小企業・小規模企業の経営環境が厳しさを増し、人手不足や事業承継・後継者問題など、迅速に対応が求められる様々な課題が顕在化してきている状況を踏まえ、市を挙げて、市民相互の共感、連携の下、その活性化と持続的な成長発展を促進し、地域経済の発展と市民生活の向上に繋げることを目的として、平成30年3月26日に「上越市中小企業・小規模企業振興基本条例」を制定しました。
本条例の制定により、市長等、中小企業・小規模企業、商工団体等、市民などの各主体が、中小企業・小規模企業の振興に向けた基本理念や責務等、施策の基本となる方針、課題や取組の方向性等を共有し、それぞれの役割を担い、相互に連携・協力して中小企業・小規模企業の振興に関わることにより、その取組の効果は一層高まるものと考えています。
中小企業・小規模企業の振興には、市民一人一人のご理解とご協力が必要です。
平成30年4月1日
A.市民の雇用と生活を支え、働きがいを高める存在だからです。
市内企業の大多数は中小企業・小規模企業で、地域に根差し、商品、サービスを提供し、市民の雇用と生活を支えています。また、多様な職種、事業内容で、働く人にとっても、力や技術などを発揮して活躍できる職場であり、働きがいを高める存在だからです。
A.中小企業・小規模企業の振興の理念をみんなで共有し、後押しする気持ちを高めることです。
中小企業・小規模企業の基本となる考え方を市民全体で共有し、心と力を合わせて関連施策に取り組めるようにすることです。
A.中小企業・小規模企業の経営環境が年々厳しさを増しているためです。
人口減少、少子、高齢化など社会経済情勢が変化する中、人手不足や若年者の職場定着、事業承継などの新たな課題が目に見える形で、中小企業・小規模企業の経営に影響を与えるようになっています。
中小企業・小規模企業の振興の考え方として、条例第3条に六つの「基本理念」を規定しました。この基本理念に基づき、中小企業・小規模企業の振興を推進していきます。
当市の中小企業・小規模企業が、雪国の風土により培われた、粘り強く、勤勉な素地を持つ市民が働き、その事業活動を通じて、市民の日々の暮らしや地域経済を支える重要な存在であるという認識を市民全体で共有するために規定するものです。
日々取り組まれている中小企業・小規模企業自らの努力及び創意工夫による経営力向上に向けた取組が、中小企業・小規模企業の振興の前提となることを明らかにするものです。
中小企業・小規模企業同士や行政、商工団体等などと相互に連携、協力することにより、中小企業・小規模企業の振興が図られることを明らかにするものです。なお、この連携・協力には、地域内における取引や消費の拡大、地産地消、6次産業化の促進等の地域内経済循環を高めるための取組も含まれます。
「経済的・社会的環境」とは、国内外の景気、国際情勢、人口動態、災害等中小企業・小規模企業の経営に影響を及ぼす様々な環境のことをいいます。
自然、歴史、文化、広域高速交通網、技術、農林水産物、特産品、工業製品、人材などの本市が有する様々な資源を活用していくことを規定するものです。
広い市域と多様な地域性を有し、例えば、高田や直江津の中心市街地や、郊外の商業集積地、中山間地では、気候、交通、人口、事業所の集積の状況などの中小企業・小規模企業が事業を行う環境が地域ごとに大きく異なることから、中小企業・小規模企業の振興に当たり、配慮が必要なことを明らかにしたものです。
中小企業・小規模企業、市民、商工団体等、市長等の各主体が基本理念を共有し、中小企業・小規模企業の振興に向け、連携・協力していくため、条例第4条から第10条に、それぞれに期待される責務・役割等を規定しました。
イメージ図「各主体の責務・役割等」で示しているとおり、本条例の主役は、中小企業・小規模企業です。共にその振興を推進する主体として市長等と商工団体等が取組の中心となります。また、その取組の推進に大きく関わる金融機関、教育機関、それぞれの思いや関わり方の中で取組を支えるのが、市民、大企業という構成です。
中小企業・小規模企業の振興に向け、第11条に市長等が行う七つの「施策の基本方針」を規定しました。市長等は、今後この方針に基づき、経済的・社会的環境の変化を捉えつつ、具体的な施策を策定し、総合計画に位置付け実施していきます。