中山間地域は、市内の耕作面積の約4割、農家数の約6割を占め、安心・安全で良質な棚田米の生産など、私たちの暮らしに欠かせない食料の生産に大きな役割を果たしています。
しかし、区画の小さい不整形な水田が多く傾斜も急なため、経営の大規模化や大型機械の導入が難しく、平野部と比べて非常に不利な生産条件が不利です。
このような状況にも関わらず、農業生産活動が継続されているのは、
「きれいな湧水や豊かな土地を利用して美味しい農産物を作りたい」
「先祖代々の土地を守りたい」
「定年退職したので農業に専念したい」
「周囲に迷惑をかけるのでやめられない」
など、さまざまな理由があると考えられます。
どのような理由でも、中山間地域で農業が営まれていることで、私たちは多くの「めぐみ」を受け取ることができるのです。
当市の人口減少や高齢化は、全国平均よりも10~15年早いペースで進行すると予測されており、特に中山間地域では一層深刻化すると見込まれています。
過去10年間の当市の推移を見ると、人口は8%減少し、高齢化率は7ポイント上昇しています。
中山間地域に限ってみれば、人口は16%減少、高齢化率は9ポイント上昇と、より深刻な状況にあり、このまま進むと、近い将来、これまで管理されてきた棚田が荒廃し、さまざまな「めぐみ」が失われます。
中山間地域の農業者の努力だけでは、棚田の荒廃を食い止めることは難しく、地域内外の人々が農業生産活動にひろく関わり、中山間地域の営みを支えるとともに、盛り上げていくことがいま何よりも必要です。
農業者は、それぞれ「思い」を持って農業を続けています。
これまで中山間地域農業と関わりのなかった皆さんに、農業者の「思い」を知ってもらうことが中山間地域農業への関心を呼び起こし、これを守るための行動につながると考えられます。
市では、こうした「きっかけづくり」を積極的に提供し、「市民みんなで棚田を守り育てる」という意識の醸成をさらに進めていきます。