ナビゲーター:文化振興課 上村聡子学芸員
児童文学者である小川未明は、明治15年(1882年)4月7日に上越市高田五分一町(現在の幸町)で生まれました。
やがて父親が上杉謙信公をまつる春日山神社を造り、その宮司となったため、未明も春日山に移り住みます。
その後は勉強のため上京し、小説や童話を書きました。その数は、童話だけでも約1200編に及びます。
アンデルセンは、世界中で作品が読まれているデンマークの童話作家です。
未明が「日本のアンデルセン」と呼ばれる1番の理由は「国民に愛された童話作家」であることでしょう。
そのほかにも、例えば「グリム童話」のように民話などを編集したものではなく、創作童話を書いたことのほか、アンデルセンの作品「マッチ売りの少女」や「みにくいアヒルの子」のように、社会的弱者に寄り添う目線を持っていたことなど、多くの共通点が挙げられます。
令和の時代になっても新しい本が出版され、読み継がれています。
『月夜とめがね』 げみ/絵 立東舎 2019年
童話作家として知られる未明ですが、 もともとは小説家として文壇(ぶんだん)にデビューし、約650もの小説を書きました。
また、50年の作家生活で、童話が約1,200、随筆や評論も約1,000点に及びます。
多作と言われるアンデルセンが書いた童話が生涯で約170作品だったことからも、未明が多くの作品を生み出していることが伺えます。
未明の作品は、生まれ育った上越の自然が影響していると言われますが、実は未明の童話には具体的な地名は出てきません。
しかし、中には上越を舞台にしていると考えられる作品もあります。
作中に出てくる、母親の姿をした雪形は、南葉山の雪形がモデルだと言われています。
(注)雪形:山肌の残雪や岩肌が織りなす模様
未明について学習している上越教育大学附属中学校の3年生に、自身が見どころと感じたことやおすすめポイントを紹介してもらいました。
人魚の子どもを拾った、ろうそく屋の老夫婦。娘は美しく成長し、育ててもらった恩にと描いた絵ろうそくが、不思議な力があると評判になりました。
ある日、娘が人魚だと知った男がやってきて…。
『赤いろうそくと人魚』 酒井 駒子/絵 偕成社 2002年
熊木 一朗さん
「ハッピーエンドではない深みを味わえます」
なぜ未明の代表作となりえたのか?
現実には起きないことや、存在しないものが描かれていますが、人が欲に負けた姿や悪いことをした顛末(てんまつ)は、現代社会で生きる上での教訓だと私は思います。
未明が時代を越えて、「人間の本質とは何か」、「人はどう生きるべきか」ということを、この作品を通じて語りかけてくれます。
隣り合う2つの国の国境をそれぞれ守る老人と青年の兵士は、いつしか親しくなり、毎日将棋を指す仲となりました。やがて、2つの国が戦争を始め、2 人は敵同士となってしまいますが…。
『野ばら』 茂田井 武/絵 童心社 1982年
丸田 ひよりさん
「今、世界中の 大人に読んで 欲しい童話です」
象徴である野ばらと悪の中の絆
作中で描かれる野ばらは、心情を表すとともに死の伏線となっています。
この作品は、ただの友情物語ではありません。友情が深まるとともに、戦争の虚しさを静かに表しています。戦時下でも友情は育まれます。
未明が生きていた時代から現代へのメッセージと見ることができるのではないでしょうか。
月のきれいな晩、針仕事をしていたおばあさんのもとにやってきたのは、めがね売りでした。
「なんでもよく見えることうけあい」のめがねを掛けたおばあさんのところに訪れたたのは…。
『紙芝居 月夜とめがね』 諸橋 精光/絵 鈴木出版 2019年
小林 美結さん
「月夜のようなきれいな心で満たされます」
やさしい世界観
この作品の主題は「助け合うことの大切さ」だと思います。未明が生前にスペイン風邪にかかった経験が作品に表れているような気がします。
コロナ禍の今、私たちに必要なのは人を思いやる心ではないでしょうか。未明のメッセージを受け取り、やさしさであふれる世界をみんなでつくっていきませんか。
未明の作品展示、生い立ちなどの紹介、未明の書斎を再現した部屋があるほか、「童話体験のひろば」では、代表作のアニメを上映するとともに、毎月第2・第4日曜日には「おはなし会」として、作品の読み語りを行なっています。
なお、小学生以下の皆さんには、未明童話の小冊子を毎月配布するほか、同時配布のシールを集めた人には、文学館のグッズをプレゼントしています。
「童話体験のひろば」で未明の世界を体感する上越市立高田幼稚園の園児の皆さん
小川未明文学館(本城町8-30 高田図書館内)
未明ボランティアネットワーク 代表 岡本 フミさん
未明ボランティアネットワークは、平成15年に発足した団体で、現在、25人で活動しています。
皆さんに未明文学のすばらしさを知ってもらおうと、文学館での「おはなし会」をはじめ、市内の小学校や放課後児童クラブなどに出向き「出張おはなし会」として、小川未明の紹介や未明童話の読み聞かせなどを、年50回程度実施しています。
文学館でのおはなし会は、子どもたちだけでなく、幅広い年代の人からお越しいただいていますので、ぜひ多くの皆さんからも聞きに来ていただけたらと思います。
会員も募集中です。
未明の顕彰活動などを行なっている市民団体「小川未明研究会」をはじめ、各団体や市が年間を通じてさまざまな記念事業を行います。
とき | ところ | 内容 |
---|---|---|
7月2日(土曜日) | 上越文化会館 | 小川未明顕彰フォーラム |
10月~12月 | 小川未明文学館 | 小川未明生誕140周年記念展 |
11月26日(土曜日) | 上越文化会館 | 小川未明フェスティバル2022・関連イベント |
12月17日(土曜日) | オーレンプラザ | 小川未明記念シンポジウム |
詳しくは小川未明生誕140周年イベントホームページ(外部リンク)をご覧ください。
(注)令和4年度予算は、令和4年第1回(3月)上越市議会定例会での議決をもって成立します。
令和4年度予算は、令和3年度補正予算と一体的に、15カ月予算として編成しました。
急速に進む少子高齢化や人口減少に加えて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や、気候変動に適合した脱炭素社会への転換など、社会経済環境の急激な変化に対応していくことができるよう、各種インフラ、産業、教育、医療、福祉、環境、文化のすべてにおいて市民の生活の質を高め、若者が帰ってきたくなるような、「暮らしやすく、希望あふれるまち」を目指すまちの姿として掲げ、その実現に向けた取り組みを確実に実行していきます。
感染予防対策の徹底と経済活性化の両立に取り組むとともに、感染症の収束を見据え、新しい生活様式を前提とした社会変容に的確に対処していきます。
「生活の質の向上」「共創の推進」「地域の魅力の最大化」「復元力・再起力の強化」「循環共生社会の構築」の5つの視点に基づく取り組みを進めます。
誰一人取り残されることなく、市民一人一人の希望がかない、自分らしい暮らしができるまち
市民、地域、事業者など各主体が手を取り合い、共に新たな価値を生み出していくまち
奥深い歴史、自然が共存する当市独自の魅力を磨き上げ、多様な暮らし・働き方ができるまち
経済社会や環境の変化に対して、柔軟かつしなやかに対応していくまち
各地域が補完し支え合い、将来にわたり活力が維持されるまち
977億8,239万円(前年度比4.6%増)
市民一人当たりでは52万3,937円(住民基本台帳人口186,630人、令和4年3月31日現在)
(注)表示単位未満を省略しているため、合計と内訳が一致しない場合があります。
905億6,842万円(前年度比0.3%増)
977億8,239万円
財源 | 区分 | 構成比 | 歳入額 |
---|---|---|---|
自主財源 40.1% | 市税 | 31.1% | 304億5,618万円 |
諸収入 | 3.7% | 36億6,611万円 | |
使用料及び手数料 | 1.7% | 16億3,109万円 | |
繰越金ほか | 3.6% | 34億8,824万円 | |
依存財源 57.6% | 地方交付税 | 23.3% | 226億6,000万円 |
国庫支出金 | 11.7% | 114億3,224万円 | |
市債 | 10.6% |
103億8,993万円 |
|
県支出金 | 7.4% | 72億7,505万円 | |
地方消費税交付金 | 4.7% | 45億7,420万円 | |
地方譲与税 | 1.1% | 11億1,870万円 | |
法人事業税交付金ほか | 1.1% | 10億9,062万円 |
区分 | 令和2年度末 | 令和3年度末(見込み) | 令和4年度末(見込み) |
---|---|---|---|
市債残高の状況 | 1,248億9,563万円 | 1,204億2,124万円 | 1,134億6,835万円 |
うち通常分 | 798億1,677万円 | 757億4,141万円 | 709億801万円 |
うち第三セクター等改革推進債を除く | 731億5,261万円 | 705億1,058万円 | 663億537万円 |
977億8,239万円
区分 | 構成比 | 歳出額 |
---|---|---|
民生費 |
30.0% | 293億8,199万円 |
公債費 | 18.1% | 177億3,015万円 |
土木費 | 12.5% | 121億7,826万円 |
総務費 | 11.7% | 114億6,656万円 |
教育費 | 9.5% | 93億3,304万円 |
衛生費 | 7.5% | 73億7,480万円 |
商工費 | 3.8% | 36億8,267万円 |
農林水産業費 | 3.1% | 29億8,433万円 |
消防費 | 3.0% | 29億7,103万円 |
労働費 | 0.1% | 1億2,030万 |
議会費ほか | 0.6% | 5億5,921万円 |
854億904万円(前年度比0.1%減)
特別会計名 | 予算額 | 前年度比 |
---|---|---|
国民健康保険 | 173億3,197万円 | -0.9% |
診療所 | 4億4,430万円 | -5.6% |
介護保険 | 239億5,004万円 | -0.3% |
後期高齢者医療 | 22億9,582万円 | 2.2% |
病院事業 | 36億9,579万円 | 23.2% |
下水道事業 | 195億7,767万円 | -7.8% |
ガス事業 | 87億772万円 | 12.1% |
水道事業 | 93億8,871万円 | 1.9% |
工業用水道事業 | 1,698万円 | -0.7% |
(注)市が特定の事業を行う場合、その事業で得られる収入を財源とするため、一般会計とは別に経理を行う会計です。