大馬(1枚目)、迫力ある大馬の飛び跳ねる様子(2枚目)
子馬(3枚目)、かわいらしい子馬たちの様子(4枚目)
横畑集落には、古くから「馬」「馬ゴト」と呼ばれる全国的に珍しい小正月行事が伝わっています。
1月15日の夜、15歳から30歳の若者が扮する「大馬」と、小学1年生から中学3年生までの子どもが扮する「子馬」が集落の各戸をまわり、家々の茶の間で馬の跳ねる様子を真似て五穀豊穣を祈りました。昭和5、6年頃には「子馬」だけになっていたそうです。
家の中に招かれるとまず3人1組の「田ならし」役が「田なーらし」と言いながら竹の棒で畳を撫でて田んぼの悪霊を追い払う所作をします。そのあとに馬が2人ずつ3組登場し、茶の間の3つの角で、「ヒヒ-ン」と言って3回ずつ飛び跳ねます。神棚にお参りし、家の人から「カイゴ(飼い葉)」に見立てた餅をもらい、次の家を回ります。子供達はその後「オヤカタ」の家の囲炉裏で餅を焼きながら、一晩中食べて遊んだそうです。
少子高齢化のため、昭和52年に一度途絶えましたが、平成9年に「明日の桑取を考える会」が復活させ、その後平成15年より、活動団体が引き継ぎ、集落有志の会、地元中学校など地域の方々との連携により、「馬」の保存伝承を図っています。
特定非営利活動法人かみえちご山里ファン倶楽部
日本で(ということは世界で)ここにしかない貴重な小正月行事です。集落による継承が難しくなったあとも、地域の「宝」として周辺地域の人たちが協力し、また地元中学校とも連携しながら引き継がれてきたことは、ひとえにその行事の持つ力ではないでしょうか。土地と人々とのかかわりの上に醸成されたこの行事がこれからも時代に沿った形で継承されていくことを願っています。
上越市「地域の宝」をご覧ください。