この銅印は、平成4年の江向(えむかい)遺跡(春日地区)の発掘調査で出土しました。印面や、つまみの部分に少し欠損がみられますが、ほぼ完形品であり、遺跡の年代から、平安時代に使用されたものと考えられます。
朱肉に使われた顔料は、印に付着した成分を分析したところ、酸化第二鉄(ベンガラ)であることが判明しました。顔料の成分がわかったのは、正倉院を除くと全国でも初めての例だといわれています。
印面は縦3.1センチ、横2.9センチで、印面の文字は「高有私印」と読めます。「高有」は、古代の頸城郡にいたとされる「高志(こし)」を名乗る氏族のうち、名前に「有」を用いた人物の私印と考えられます。また、江向遺跡では、大型の掘立柱建物もみつかっています。