1月14日夜の子どもたちが主役の「鳥追い」。集落の白山神社に集まった子どもたちは、親方を先頭に太鼓の調子に合わせ鳥追い唄を大声で唱えながら桑取川に架かる橋に向かい、橋の真ん中で太鼓と大声で集落内の鳥を追い払います。帰りは追い払った鳥が戻ってこないように静かに神社に戻り、これを夜がふけるまで何度も繰り返します。(1枚目)
大人たちが主役のサイの神の「オーマラ」。男性たちが「オーマラオーマラ」と声を上げながらオガラで作った松明で互いの頭を叩き回り、家内安全、子孫繁栄、五穀豊穣を祈ります。(2枚目)
桑取谷の西横山集落には、上越市文化財にも指定されている伝統的な小正月行事が継承されています。
戦前には地元の研究者市川信次がつないだ縁により渋沢敬三らが訪問するなど、早くから民俗学的に注目されていました。その後、写真家濱谷浩が撮影を続け、昭和31年刊行の写真集『雪国』に結実し、広く知られるようになりました。
西横山の小正月行事は、1月11日の若木迎えに始まり、14日の夜から15日にかけてモノつくり、鳥追い、嫁祝いなどを行って、15日夜のサイの神のオーマラで最高潮に達します。そして、18日の夜にガヤを外して一連の行事が終わります。
子どもたちが主役となる行事は、「鳥追い」のほか、15日昼に行う、前年嫁いだ女性の子宝を祈願する「嫁祝い」、オーマラ用のワラなどを集める「焼き草集め」があります。
西横山小正月行事保存会は、少子高齢化や過疎化などの課題を抱えながらも、早い時期から将来を見据えた保存の形や継承の方法を模索し、活動を続けてきました。
現在は、地元小中学校や、地域で活動する団体などと連携し、桑取地域全体で大切に守り伝えています。
西横山小正月行事保存会
西横山の小正月行事を保存するとともに、地域の活性化を図ることを目的に活動しています。
450年以上続く伝統を、「自分たちの代で終わらせてはいけない、何とかつなげて次に渡したい」という思いでがんばっています。自分が小さい頃、行事が楽しみでした。だからこそ子どもたちにも教え、その子たちが行事を誇りにしてこの地で楽しく生きていってくれればと願っています。行事は地域を元気にします。みんなで連携し、ずっと伝えていきたいと思っています。
上越市「地域の宝」をご覧ください。