この絵像は、本紙縦103センチ、横69センチに親鸞が正面を向き、等身大で描かれています。
裏書には、大谷本願寺13世の宣如(せんにょ)の署名があります。寺伝によると、この絵像は、浄興寺15世善芸が宣如から下付されたもので、狩野山楽(かのうさんらく)に制作させたものとされています。山楽は、師の狩野永徳(かのうえいとく)と並ぶ安土桃山時代を代表する絵師です。
親鸞の図像は、鎌倉時代後期以降に定型化したといわれています。その姿は、衲衣(のうえ)の上に袈裟を身に着け、帽子(もうす)と呼ばれる白いスカーフのようなものを首に巻いて、胸前で数珠を数える姿勢をとります。やや面長な顔は、頬骨が張り、頬はこけている一方、太い眉毛は眉尻が上がり、鋭い眼光で遠くを見据えています。
親鸞の肖像画は、国宝に指定されている西本願寺の鏡御影(かがみのごえい)をはじめ、奈良国立博物館の熊皮御影(くまかわのみえい)、東本願寺の安城御影(あんじょうのみえい)などがよく知られています(いずれも重要文化財)。
これらの親鸞が、右斜め前を向いているのに対して、本画像は、真正面を向いて描かれています。