中正善寺に伝わる獅子天狗舞は、伊勢国(三重県)から伝わったものといわれており、一説によると、上杉謙信が春日山城で城兵の慰安と士気高揚のため演じさせたともいわれています。獅子は霊獣として悪霊を鎮めてくれる神の使いと考えられてきましたが、中正善寺の獅子舞の場合、獅子も時には驕り高ぶるので、天狗が登場して獅子をこらしめるといった構成になっています。
舞は、獅子の舞う「悪魔払いの舞」、獅子が御幣を持ち、台詞を言いながら舞う「御幣舞」、獅子が体を玉(神の魂)にこすりつけたり、口にくわえて踊る「玉遊びの舞」、そして天狗が登場し、獅子と戦う「天狗と獅子の決闘の舞」の4つの場面で構成されます。特に天狗と獅子の決闘の舞は、両者が織りなす様子が面白く演出され、最後に獅子をこらしめた天狗が太刀を振り回して舞台狭しと舞うクライマックスは圧巻です。笛と太鼓の音にあわせて舞われます。
かつては集落の鎮守白山神社の祭、正月や盆、新築祝いの席などで舞われていましたが、現在は地域行事等で披露されています。