この軍配は、全長49センチ、扇の幅17.5センチで、表面に黒漆が塗られ、中央に金箔で日輪が押され、その周りに梵字が配されています。柄尻には赤房がついています。一般には軍配団扇(ぐんばいうちわ)と呼ばれるもので、室町時代末期から合戦の際に軍を指揮するために使用されました。また、神社などに奉納して戦勝を祈願する信仰的な意味でも用いられました。愛宕神社の軍配は、愛宕神社の別当を務めた宝持院(廃寺)に上杉謙信が奉納したものと伝えられています。制作年代は明らかにされていませんが、関東管領旗とされる紺地日の丸をかたどったものと推測されているので、謙信が関東管領に就任した永禄4年(1461年)以降に奉納されたものと考えられています。
軍配は元禄16年(1703年)に高田城主戸田忠真が寄進した軍扇箱に納められ、その蓋裏に謙信が奉納したものである由緒が記されています。