この神饌箱は、縦12.8センチ、横20センチ、高さ12.6センチで、箱全体が片身替(かたみがわり)に区切られ、一方は梨子地(なしじ:漆の上に金・銀の粉末を撒く技法)で、他方は黒漆塗として金と黒に分け、菊や牡丹、梅鉢文が蒔絵(まきえ:漆で絵や文様を描き、金属粉や色粉を蒔いて装飾する技法)であしらわれています。制作年代は不明ですが、装飾の梅鉢文が福島城主となった堀氏の家紋であることから、堀氏が作らせたものと考えられています。また、昭和30年代まで府中八幡宮の宮司を交替で勤めていた社家に伝わることから、堀氏が府中八幡宮に奉納したものと考えられています。