この像は、像高33センチ、青銅製で、右手は肘より先、左手は手首より先が失われており、木製の両手が後に補修されています。また、右手には戟(げき)と呼ばれる武器を持ち、足元には邪鬼を踏んでいたと推定されますが、現在は失われています。室町時代後期の制作と考えられています。
上杉謙信が毘沙門天を篤く信仰したことはよく知られています。本像も謙信の祈願所と伝えられる「滝寺毘沙門堂」の本尊です。30年に一度御開帳される秘仏で、謙信が信仰した像として地域で大切にされています。
毘沙門天は、もともと仏教の守護神四天王の一つ、多聞天(たもんてん)のことで、独立して尊崇される場合は多く毘沙門天と呼ばれます。守護神の性格を有するため、口を堅くむすんだ忿怒相(ふんぬそう)で表現され、鎧で身をかためた姿に造られています。