これは、本願寺8世の蓮如の生涯のうち、誕生から吉崎に坊舎「吉崎御坊」を建立して布教の根拠地とする頃までを、上下15段にわたって紙継ぎを施した縦95.9センチ、横52.6センチの本紙に描いた絵伝です。江戸時代後期の4幅本が多く現存する中では古い例で、1幅の構成による遺品として貴重です。絵画様式などから、室町時代後期作とみられる原本を、江戸時代初期までに転写したものと推測されています。
本覚坊は、寺伝によると文明年間に吉崎から越後に移ったとされ、吉崎の多屋九坊のひとつであったと伝えられています。この絵伝のほか、「吉崎御坊参詣絵図」等多くの寺宝が伝来しています。なお、明治37年(1904年)の「法寶物(ほうほうもつ)目録」には「吉崎傳(でん)佐々木如光筆」とあり、それがこの絵伝にあたると考えられています。