この鏡は、平成6年に子安遺跡の9世紀後半と推定される大溝の底からほぼ完全な形で出土しました。
発見当初は、唐(中国)からもたらされた鏡(舶載鏡・はくさいきょう)を原型に日本で複製した鏡(仿製鏡・ぼうせいきょう)と考えられていましたが、成分分析などを行った結果、舶載鏡である可能性が指摘されました(現時点では確定していません)。子安遺跡で約100年使用されたのち、何らかの理由で大溝に廃棄されたようです。
鏡は直径14.2センチで、鏡背には中央に獅子がうずくまった形の紐を通す穴があり、その周りに葡萄唐草文を下地にして躍動感あふれる獣を5匹配置しています。さらにその外側に8羽の鳥をすべて異なった形で等間隔に描いています。葡萄唐草文は、西アジアに源流をもつ異国情緒豊かなものです。
子安遺跡周辺は、古代越後国府推定地となっており、本鏡は中央と当地との関係を考える上で貴重な遺品です。