この像は、像高17センチ、珍しい鉄製で、鎌倉時代に流行した懸仏であったと考えられています。本像が付属していたいた鏡板は、外されたのか今はなく、独尊としてまつられています。厨子(ずし)と光背、蓮華座は後年の作です。17年に一度の御開帳とされる秘仏です。
縁起によると、文永8年(1272年)に宗尊親王から朝比奈義秀がお守りとして賜ったものです。義秀は諸国を巡り、弘安4年(1281年)にこの地を訪れて小庵を建て、小林円平坊(しょうりんえんぺいぼう)と名付け、本像を安置したといわれています。天正4年(1576年)、火災により小庵は焼失しましたが、信徒の浄財により再建されました。
現在の安塚区円平坊(えんたいらぼう)の地名はこの小庵の名称に由来しており、当時の村人たちは小林を名字にしたといわれています。
昭和56年1月10日に旧安塚町の文化財に、平成19年6月1日に上越市文化財に指定されています。