(左)木造不動明王像 (右)木造毘沙門天像
両像は、木喰(1718年~1810年)が日本全国を旅する中、文化2年(1805年)に当市吉川区の無量庵を訪れた際に制作したものです。両像ともにイチョウ材を用いた一木造で、墨と朱で彩色が施されています。昭和時代に無量庵が廃寺となったため、同37年(1962年)に大潟区犀潟の円蔵寺に移されました。
木造不動明王像は、像高91センチで、巻髪で左肩に弁髪を垂らし、上半身裸形、両眼を見開き、唇の上下に牙を出しています。背後の火焔の中から現れたかのように、左手、左脚を炎の中に残し、右脚を前に踏み出し、力強く岩座に立ちます。右手には宝剣を持ち、背面には不動明王の種子(しゅじ:仏の象徴として書き表す梵字)が大きく記されています。
木造毘沙門天像は、像高95センチで、甲冑をつけ、両眼を大きく見開きます。左手に宝塔を持ち、足元には一匹の邪鬼を踏みます。像の背面には毘沙門天の種子と「毘沙門尊」という文字が大きく記されているほか、木喰の署名や年齢、制作日などの墨書もあります。
ともに忿怒相であらわされていますが、表情には木喰仏の特徴である微笑を感じ取ることができます。
昭和58年1月28日に旧大潟町の文化財に、平成19年6月1日に上越市文化財に指定されています。