町田の閻魔堂には、十王像(10軀)のうち4軀が安置されています。いずれも寄木造で像表面には彩色が施されています。
十王とは、冥界で死者の生前の罪業を裁く10人の王のことをいいます。
堂の中央で憤怒の形相をしているのが裁判官役の「閻魔王」(写真)、死者の審判を行う一人「初江王(しょこうおう)」、三途の川のほとりにいて冥界にきた死者の服を剥ぎ取る「脱衣婆(だつえば)」、地獄から救済する弁護士役の「地蔵菩薩」が現存しています。
これらの諸像は、もともと吉川区の顕法寺城下にあった十王堂に安置されていましたが、元和3年(1619年)の火災により堂とともに諸像10軀のうち6軀を残して焼失しました。その後、元禄6年(1693年)に堂を再建して、焼失を免れた6軀を安置しました。さらに、天明6年(1786年)、字浄福寺にあった堂を現在地に移築再建し、修理を加えながら現在に至っていますが、その過程で2軀を失ったようです。これらの修復や再建などの経緯は堂内に残された棟札によって知ることができます。
本像は近在に広く知られ、柏崎や五智の閻魔像と並び、「三大閻魔」として、この地方の庶民から信仰されてきました。
昭和62年3月30日に旧吉川町の文化財に、平成19年6月1日に上越市文化財に指定されています。