この石像は、総高46センチ、幅26.5センチの火焔光を模した光背に、像高34.5センチの飯縄権現像が浮き彫りされています。
本像は、白狐の背に立つ烏天狗の姿をしており、天狗の翼は光背に線刻で表現されていますが、摩滅により像容がはっきりしないことが惜しまれます。
飯縄権現は、信越国境の飯縄山で栄えた修験の尊像で、特に上杉謙信が信仰したことは有名で、自身の兜の前立に飯綱権現をあしらったことはよく知られています。
本像が伝わる転輪寺(曹洞宗)はもともと真言宗で、その開基は上杉謙信の祖母にあたる「袈裟(けさ)」とされ、上杉家との深い関係がうかがえます。転輪寺は、上杉家の国替えにしたがって米沢市に移転しましたが、江戸時代のはじめに現在地に再興されたと伝えられています。
平成3年1月21日に旧吉川町の文化財に、平成19年6月1日に上越市文化財に指定されています。