この像は、像高13センチで、台座を含めて一鋳で造られています。像の正面だけ造形され、背面は空洞であることから、もともとは鏡板に取り付けられていた懸仏の一部と考えられています。薬師如来として伝わっていますが、現在、左手には薬壺はないことから尊名は不明です。右手は手の平を前にむけて立てる施無畏印(せむいいん)を結んでいます。面長で鼻筋が長く、耳もふくよかで額には白毫(びゃくごう)が刻まれます。膝から蓮華座にかけて大きくせり出してつくられた厚手の懸仏で、室町時代の制作と考えられています。
第2次世界大戦終戦の頃に板倉区の下筒方の水田から出土したといわれています。令和4年に旧所有者(個人)から市に寄贈され、現在、上越市立歴史博物館に収蔵されています。
平成10年12月25日に旧板倉町の文化財に、平成19年6月1日に上越市文化財に指定されています。