この地蔵は全高32センチ、幅26センチで、旧三和村の東南部山間地から切り出された軟質の大光寺石とよばれる石材で作られています。制作年代は不明です。
干ばつに苦しむ人々が雨乞いを祈願したもので、普段は村の道端に安置されていますが、干ばつの際にはこの地蔵を川端に持ち出し、村人が左右に分かれ、一方で「地蔵さん、雨を降らせれば酒をかってやるぞ」と叫び、他方で地蔵役の村人たちが「雨を降らすから酒一斗かうべし」などと叫びます。そしてその酒を地蔵の頭に注ぎかけ、川の水で地蔵を洗い、村人たちは赤い布を着せた地蔵の周りで夜通し飲み交わします。これを雨が降るまで毎晩続けます。昭和33年に行われた雨乞いでは、村人たちが酒などのよい品を地蔵の前に備え、祈願の上、荒縄で地蔵を縛り、池の中へ何度も投げ込んだといいます。地蔵を溜池に投げ込んでしまう祈願の儀礼は大変珍しいもので、奇祭として知られています。同様の祭りは同区越柳でも行われています。
平成15年5月20日に旧三和村の文化財に、平成19年6月1日に上越市文化財に指定されています。