この像は、像高174センチ、ヒノキ材を用いた寄木造で、頭上に十一面を頂き、胸前に合掌手、腹前に定印手を置き、左右にそれぞれ5臂の脇手をつくり、千手観音のスタイルをとります。脇手には、錫杖や日輪などの持物を執り、それぞれの功徳を表します。後世に修理が行われていますが、鎌倉時代の制作と考えられています。
寺伝では、奈良時代の仏師春日の作で、大同2年(807年)に猿供養寺(板倉区、かつて山寺五山の一つ)から名立区の石坂寺(真言宗)に移され、安土桃山時代に同寺が廃寺になったため、善興寺(曹洞宗)として再興され、今に至っているといわれています。
善興寺の住職一代のうちに一回のみ御開帳が行われます。
平成5年2月22日に旧名立町の文化財に、平成19年6月1日に上越市文化財に指定されています。