浄興寺に伝わる、本願寺歴代門主からの書状
浄興寺は、親鸞聖人により元仁元年(1224年)に創建されたという古い由緒を持つだけに、本願寺との古くからの関わりを伝える資料は少なくありません。歴代門主(もんしゅ)からの書状30通も、その一つです。
内訳は、存如(ぞんにょ)4通、蓮如(れんにょ)6通、実如(じつにょ)1通、証如(しょうにょ)1通、顕如(けんにょ)2通、教如(きょうにょ)6通、宣如(せんにょ)10通となっています。
存如書状は伝来数が少なく、浄興寺の4通を含めて、京都の東本願寺に1通、本誓寺(上越市寺町3丁目)に1通のあわせて6通を数えるにすぎません。その内容は、大谷本願寺の御影堂・阿弥陀堂の新築や住坊の改築をはじめ、本願寺初期の教団の様子や地方寺院との関係を知る手がかりとなる、貴重な内容となっています。
蓮如書状は本願寺勃興期の教団研究の手がかりとなるもので、巧観(こうかん)・了周(りょうしゅう)ら浄興寺歴代住職が、本願寺の蓮如のもとに留学した様子を伝えます。そのほか、顕如書状は石山合戦に関する内容、教如・宣如書状は本願寺が東西分派に至る真宗史上の重要な内容を含んでいます。
これらの書状は、巻子本(かんすぼん:巻物)に装丁されて、浄興寺で大切に守られてきました。