旧今井染物屋外観(1枚目)、チャノマの様子(2枚目)
土蔵(3枚目)
旧今井染物屋は、城下町高田の大町通りに面した旧新職人町にあり、19世紀中頃の建築とされる主屋は、上越市に現存する町家の中でも、最古級に属します。今井家は江戸時代から染物屋を営んでいました。
主屋は、間口6間半、切妻造2階建て、金属葺き、平入りで前面に一間幅の雁木を持っています。雁木は、主屋二階の床を雁木の天井とした高さ2.4メートルの「造り込み式雁木」と呼ばれるものです。雁木の外観形状は、明治22年(1889年)の絵図や昭和初期の写真から変わっていません。
主屋の玄関を入ると、トオリニワに沿って、右手に作業場や流し場があり、左手には、前側からミセ、チャノマ、ザシキが並びます。チャノマとトオリニワの境に間仕切りを設けず、方三間の広さとし、棟木上端まで6.6メートルの吹き抜けとしています。吹抜上部に設けた高窓からチャノマの上がり端に採光し、そこで主人と客が反物の発光を確認したとみられます。
屋根を軽量化して、太い柱に細い梁を整然と組んだ吹き抜けのチャノマは、技術的にも意匠的にも、洗練された雪国の町家の内部空間を示します。
土蔵は主屋と同時期につくられたとみられており、2階建て切妻造で、堆雪から土壁を守るため、全体を金属葺きの覆屋で覆い、主屋後方に伸びた屋根とつなぎます。
トオリニワの後ろ側を土蔵の戸前として、冬季の利便性を図っています。
保存状態もよく、近世末期の雪都・上越市高田を代表する町家です。現在、旧今井染物屋として、公開・活用されています。