水科古墳群は、飯田川の東岸の扇状地上に位置し、古墳時代後期(7世紀)に造られた円墳を中心とした古墳群と推定されています。約1ヘクタールという狭い地域内に、34基の古墳が群集しています。また、墳丘(ふんきゅう)は削平されていますが、大部分が円墳であったと推測されます。
特色は、大半の横穴式石室が南西向きに入口が作られ、河原石を積んで壁を作っている点です。
石室の規模は、大きいもので全長8.6メートル、幅0.9メートル前後、中規模のものとしては、全長3.5から4メートル、幅0.8から0.9メートルの一群があり、さらに小規模なものとして、全長1から1.3メートル、幅0.3から0.5メートルといった一群が見られます。
大規模から中規模のものと、小規模のものとの間には、被葬者の数および葬法にちがいのあることがうかがわれ、古墳群の構造上注目されます。比較的規模の大きい横穴式石室は、追葬(ついそう)に配慮したものであり、直刀(ちょくとう)、金環(きんかん)、銀環(ぎんかん)等の副葬品が出土していますが、小規模のものは一人を埋葬することが想定され、副葬品も検出されていません。
水科古墳群は、日本海沿岸北部における古墳時代後期の群集墳として極めて際立っており、その在り方、構造等にも特色がみられ、この地方の古代の動向をうかがう上で重要な遺跡です。