県内で新型コロナウイルス感染症が増え、市内でも感染者が確認されていることから、令和4年1月23日(日曜日)に予定していた「食育実践セミナー」は中止となりましたが、当日に予定していた食育講演会やパネル展示の内容を「食育実践セミナー(WEB版)」として紹介します。
家族や自分の食生活を改めて見直し、食育の実践につながるヒントとなる内容ですので、是非ご覧ください。
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食育インタビュー お米パワーでスポーツ・受験に勝つ体づくり
食育講演会でお話しいただく予定だった元アルビレックス新潟栄養アドバイザーの長谷川直子氏に、「食事とスポーツ・受験の関わり」についてインタビューしました。
- スポーツをする子どもの栄養摂取の考え方
- バランスのよい食事とは
- お米のパワー
- 練習前、練習後には、何を食べたらよいか
- 試合前日・当日の食事
- 受験に向けての食事.
- Q&A
プロフィール
- 長谷川 直子 氏
- 管理栄養士、公認スポーツ栄養士、元Jリーグアルビレックス新潟栄養アドバイザー
- 2009年~2021年アルビレックス新潟の栄養アドバイザーを務め、選手とその家族向けの栄養セミナーや遠征・キャンプ時の同行とメニュー調整などを行う。また、ホテルオークラ東京ヘルスクラブのレストランメニューの栄養価計算や、女性向けダイエット誌の取材、透析クリニックでの食事相談など、豊富な経験を生かし、現在も幅広く活躍中。
- 食事には、人が生きる、生活をするための「生命を維持する」という大切な役割があり、成長期の子どもにとっては、発育や発達など成長のために必要なエネルギーや栄養素をとる目的があります。
- その上で、スポーツをしている子どもは、スポーツによって消費したエネルギーや栄養素を補給する必要があり、スポーツをしている分のエネルギーや栄養素が不足すると、貧血やケガを引き起こしやすくなります。
- 食事は、生涯にわたって関わることです。成長期のジュニア選手にとって、まずは生命活動、発育・発達に必要なエネルギーと栄養素を土台とし、スポーツをするために必要なエネルギーと栄養素をとることが大切です。
- 特に小・中学生選手は、体が未発達であることも多く、体格や体力にも個人差が大きいため、個々の選手に合った対応が必要であり、その選手に合った運動量・食事量を選手、保護者、指導者が一緒に考えていくことが大切です。
- 必要なエネルギーや栄養素をしっかりとるためのポイントの一つが「バランスのよい食事」です。
- 主食:エネルギー源となる炭水化物を多く含む、ご飯、パン、麺類など
- 主菜:筋肉や骨、血液などの材料となるたんぱく質を多く含む、肉、魚、卵、大豆製品(豆腐や納豆)など(一般的に「おかず」と言った方が身近かもしれません。)
- 副菜:風邪の予防、けがの回復、コンディショニングの維持などに欠かせないビタミンやミネラル、食物繊維などを含む、野菜、海藻、きのこなどを使った料理
- 汁物:水分補給の役割もあるみそ汁やスープ
- 果物:ビタミンを多く含む果物
- 乳製品:骨の材料となるカルシウムを多く含む牛乳やヨーグルト
- 主食、主菜、副菜、汁物、果物、乳製品を毎食食べることで、エネルギーや栄養素を偏りなくとることができます。とはいっても、朝からたくさんの品数を用意することは大変ですし、こんなに食べられない、といったお子さんも多いと思います。
- その場合は、主食+主菜=納豆ごはん、副菜+汁物=野菜たっぷりの具だくさんみそ汁、果物+乳製品=バナナヨーグルトなど、組み合わせて食べても構いません。
- スポーツ選手の食事というと、「肉をたくさん食べている」というイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、私は炭水化物(糖質)をしっかり食べてほしいと選手に話しています。
- 米、パン、麺類などに多く含まれる炭水化物(糖質)が不足すると、集中力・判断力・思考力が低下し、練習に集中できなかったり、試合中に的確な判断ができなかったり、ケガをしてしまうことにもつながります。
- 運動後に炭水化物(糖質)を食べることで、トレーニングで使ったエネルギーを補い、疲労回復させるという役割もあります。
- 中でも「お米」は、脂質が少なく、ゆっくり吸収されて腹持ちがよいため、スポーツをするときのエネルギー源として最適です。また、お米は粒のため、「よく噛む」ことで脳が活性化され、集中力がアップしたり、消化・吸収を促進したりするなどの働きもあります。
- 特に新潟はお米がおいしいですよね。県外から移籍してきたプロサッカー選手も「新潟はお米がおいしい」とよく話をしています。せっかく、おいしいお米が食べられる新潟なので、お米でしっかりエネルギーを補給してほしいです。
- ただ、真冬におにぎりを持って練習に行くと冷たくなって食べにくいのでパンを、暑い日は、喉越しのよい麺類を活用することも糖質補給の方法の一つです。
- 何も食べずに空腹状態で練習を始めてしまうと、トレーニングに集中できなかったり、ケガをしやすくなったりすることがあります。
- 練習開始まで1時間以上あるようであれば、トレーニングに必要なエネルギー源となる炭水化物(糖質)を多く含むものがおすすめです。
- 練習開始まで1時間を切っている場合は、固形物よりも消化吸収の負担が少ない水分や吸収の早い糖質をとるのがおすすめです。
- 練習後は、トレーニングによって傷付いた筋肉の修復にたんぱく質を、トレーニングで使ったエネルギーの補給と疲労回復に炭水化物(糖質)を食べることが大切です。
- 炭水化物(糖質)は、しっかり食べましょう。ご飯がたくさん食べられるように、丼もの、炊き込みご飯などでも構いません。おにぎりとうどんなど、主食の品数を増やしても構いません。
- たんぱく質源である主菜(おかず)は普段どおりで構いませんが、脂質が多く含まれ消化の負担になる、唐揚げなどの揚げ物や生クリームを使ったパスタなどは控えめにしましょう。また、緊張で消化吸収力が低下しているため、消化吸収に時間がかかる刺身などは、食中毒予防の点からも控えましょう。
- ごぼうなど食物繊維の多い食品も腹痛や下痢の原因となることがあるので控えましょう。
- 当日の食事量は、いつもの8割程度にし、試合が終わった時に、ちょっとお腹が空いているくらいの量がよいです。緊張すると、胃腸の消化吸収力は普段より低下するので、慌てず、ゆっくり食べることを心掛けましょう。
- 朝の集合が早くて朝食が十分に食べられない場合は、移動のバスや車の中で食べられるように、おにぎり、ミニあんぱん、一口ようかんなどを持たせておくといいですよ。
- 試合開始の3時間前までには、食事を終えるようにしましょう。
- 運動時の食事と同じように、塾に行く前も、お腹が空いたままでは集中して勉強に取り組むことができないので、補食をとることがおすすめです。
- 運動時ほど細かな食材選びは必要ありませんが、エネルギー源である炭水化物(糖質)をしっかり食べることが大切です。
- 塾は帰宅時間が遅くなることが多いと思います。帰宅してから寝るまであまり時間がない場合は、揚げ物など消化に時間のかかるメニューだと、翌朝、朝食が食べられないといったことがあるので、注意が必要です。今の時期なら一人用の鍋などもいいですね。
- 時間に余裕があれば、塾前にある程度食事を済ませ、帰宅後に果物とヨーグルトなどでもいいです。各ご家庭、お子さんに合った方法を見つけてみましょう。
塾前・帰宅後の食事について
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食事メニュー |
ポイント |
塾前 |
おにぎり、うどん、あんぱん、果物、サンドイッチ など
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帰宅後 |
鍋、水餃子、具だくさんうどん など
から揚げ、とんかつ、魚のフライは避け、代わりに茹で鶏、豚しゃぶサラダ、魚のホイル焼き など
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- 胃腸に負担のかかりにくいメニューにする。
- 油を控えた調理法(蒸す、ゆでる、油を控えて焼くなど)で調理する。
- 低脂肪食材を活用する。
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- 試験前日には、かつ丼、当日のお弁当にとんかつと、受験に「勝つ」ということで、食事の中に入れたい気持ちはわかりますが、揚げ物は消化・吸収の負担になるので控えましょう。
- 試験前日・当日は、スポーツの試合時と同じように、生ものや揚げ物は控え、エネルギー源になる炭水化物(糖質)をしっかり食べることです。
- 緊張しているお子さんにとって、食事がストレスにならないよう、お子さんの好きな食べ慣れたメニューで心と体の栄養になる食事を用意してあげましょう。
- 当日の朝、緊張して食べられない場合は、雑炊やリゾット、うどんなど食べやすいメニューにしたり、少量でエネルギーをしっかりとることができる餅を利用したりすることも一つの手です。
- 一口で食べられて、炭水化物(糖質)の補給になる、ミニおにぎりやミニあんぱんなどを持たせてあげると、休憩時間のリフレッシュにもいいですね。
最後にお伝えしたいこととして、今回、お話ししたことを最初からすべてやろうとしないことです。今できることから少しずつ取り組んでいただき、各ご家庭、各お子さんに合った方法を、まずは1週間、1か月、3か月、半年と続けていってほしいと思います。
Q1.肉・魚の中でも特に優れているものはありますか。
A.牛肉には、持久力アップや貧血の予防に欠かせない鉄が多く含まれ、豚肉には、疲労回復や炭水化物をエネルギーに変えるために必要なビタミンB1が含まれています。鶏肉は、皮を取り除けば高たんぱく質・低脂質の食材です。また、魚も、青魚には血流を促したり炎症を抑えたりする役割の油が含まれており、白身魚は脂が少ないので消化がよく、夜遅い食事の時にはおすすめです。
このように、特定の食材が特に優れているということはありませんので、一つの食材に偏らず、いろいろな食材から栄養素をとるようにしましょう。
Q2.プロテインを飲む人がここ数年増えていますが、体への負担はないのでしょうか?
A.たんぱく質は、摂取した分だけ筋肉になる訳ではありません。一度に吸収できる量は限られており、摂取し過ぎた分は脂肪として蓄積されたり、尿として排泄されたりするなど、肝臓や腎臓にも負担がかかることがあります。
Q3.バランスのとれた食事は量が多くなるイメージがあります。食が細い子へは、どう対応したらよいのでしょうか?
A.一度にたくさんの食事量を食べられないお子さんは、一日の食事回数を4~5回にするなど、補食を活用するといいです。学校へ行っていて補食をとることが難しい場合は、帰宅後にスナック菓子やアイスクリームといったお菓子ではなく、一日に必要な量の炭水化物(糖質)を補うために、おにぎりや焼き芋などを食べるようにしたり、果物やヨーグルトなど、3回の食事でとりきれない食事量や栄養素を補食でとったりするように心掛けましょう。
Q4.食べ過ぎてしまう子へは、どう対応したらよいのでしょうか。子どもが「食べたい」と言ってくるということは、エネルギーが足りないということなのでしょうか。
A.定期的に(週1回ほど)体重を測定し、体重の変化を見てみましょう。体重が減っているようなら食事量が足らないですし、急激に増えているようなら食事量が多いかもしれません。
また、食べ過ぎてしまうお子さんは、時間に余裕を持ってゆっくりよくかんで食べていますか。水分で流し込むような食べ方をしていませんか。テレビやスマホを見ながら食べていませんか。よくかんで食べることは食べ過ぎを防ぐだけでなく、消化がスムーズに行われ、栄養素の吸収率アップにもつながりますので、これらの観点から普段の食事を見直してみましょう。
注)インタビュー内容は無断転載禁止
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