ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 小林古径記念美術館 > 小林古径記念美術館

小林古径記念美術館

印刷用ページを表示する 掲載日:2022年9月2日更新

小林古径記念美術館

 小林古径記念美術館は、上越市出身の日本画家・小林古径の作品とともに、上越市ゆかりの美術作家の作品を収集・展示する美術館です。

 当館は2020年(令和2年)10月に新たな美術館としてオープンしました。小林古径作品を常設展示する「古径記念室」、上越市ゆかりの作品を中心に多彩な美術作品を紹介する「企画展示室」のほか、講座やワークショップを行う「二ノ丸ホール」などがあります。

 敷地内には東京都大田区南馬込から移築復原した小林古径邸(国の登録有形文化財)と、再現された古径の画室があります。庭園には古径が絵にした草花や樹木が植えられ、四季の移り変わりとともに眺めを楽しむことができます。

 当館は教育普及活動を重視し、ワークショップや工作教室、講演会など、年間を通してさまざまなイベントを行っています。

美術館外観(写真)
 美術館外観

 企画展示室(写真)
 企画展示室

 古径記念室(写真)
 古径記念室

 二ノ丸ホール(写真)
 二ノ丸ホール

 小林古径邸(国登録有形文化財)

 小林古径邸は建築家・吉田五十八が設計し、棟梁・岡村仁三が施工した木造二階建て・数寄屋造りの住宅です。

 古径は1920年(大正9年)、農家を改造した画室を東京の南馬込にもうけ、1934年(昭和9年)には画室の隣に住宅(小林古径邸)を新築しました。築後60年を経て、古径邸は1993年(平成5年)に解体されました。上越市はこの解体部材を購入し、高田城址公園内で吉田五十八から指導を受けた建築家・今里隆の監修により復原工事に着手、2001年(平成13年)に完成し、一般公開されました。

 小林古径邸は現存する数少ない吉田五十八の初期の作品として、また、建築家の構想を実現した当時の施工技術の高さを伝える建物として貴重な建築物です。隣接する画室と合わせて、古径の人となりや制作の様子などを感じることができます。

 古径邸と牡丹(写真)
 小林古径邸(国登録有形文化財)

 本邸客間(写真)
 古径邸1階客間

 本邸2階(写真)
 古径邸2階

 画室(写真)
 画室

小林古径邸の特徴

 小林古径は1934年(昭和9年)、画室に隣接して住宅を建てることにし、鏑木清方などの日本画家と親交があった吉田五十八に設計を任せました。注文する時、無口な古径は吉田に対し、ただ一言「私が好きだという家をつくって下さい」と言っただけでした。吉田は古径の芸術を研究して古径邸を建てたといいます。

 古径邸は目に見える部分をなるべく細く、すっきりと見えるようにデザインされています。柱を壁で覆い隠す「大壁」や、一部だけを見せる「はっかけ」などの技法を使い、余計な線や無駄な部分が見えないような作りになっています。屋根は「むくり」という曲線を付け、シャープさの中に柔らかなふくらみを持たせています。この繊細な建物を支えるため、柱の内部にボルトを仕込むなど、近代的な技術で補強されています。

 また、古径邸は機能面でも優れた点があります。どの部屋も段差のないデザインになっており、収納が豊富で使いやすさを重視した設計になっています。住宅完成後、古径はすぐに引っ越さず、半年くらいは眺めて楽しむほど、この住宅を気に入りました。

小林古径の画室について

 古径は1920年(大正9年)に農家を改造し、画室として使用していました。その後、1934年(昭和9年)に画室の隣に住宅(小林古径邸)を建てました。この住宅を気に入った古径は、1936年(昭和11年)に再び建築家・吉田五十八に画室の改造を依頼しました。

 画家にとって、絵を描く際、光を調整することはとても重要なことです。改造後の画室は、自由に採光できるように大きく窓を取り、障子は上げ下げできるようになっており、微妙な調光が可能です。

 古径はこの広い画室で朝から日が暮れるまで絵を描いたといいます。なお、古径の死後、画室は取り壊されたため、現在の建物は当時の写真や図面をもとに2001年(平成13年)に再建されたものです。