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12 ワイン

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印刷用ページを表示する 掲載日:2025年11月1日更新

はじめに

 酒類全体の生産量は減少から横ばい傾向にある中、ワインを含む果実酒は増加から横ばい傾向にあります。このうち日本国内で栽培したぶどうを100%使用して国内で醸造したものを「日本ワイン」といいます。

 日本のワインづくりは、生食用のぶどう栽培が盛んであった山梨県から明治時代に始まり、明治政府は殖産興業政策の一環としてぶどう栽培やワイン醸造を振興しました。1927年には川上善兵衛が「マスカット・ベーリーA」を交配し、その振興に大きく貢献しました。

 ワインの消費は東京オリンピックの頃から拡大し、その後いくつかのワインブームを経て今日に至っています。2003年からは国産ワインコンクール(現:日本ワインコンクール)が開催され、近年では日本ワインが世界のワインコンクールでも評価を受けるなど品質が向上しています。

果実酒の生産量の推移(全国)

全国の果実酒の生産量の推移の棒グラフ(画像)

出所 国税庁「酒のしおり」をもとに作成

日本ワインの生産割合(都道府県別・2022年)

2022年都道府県別日本ワインの生産割合(画像)長野県が25.5パーセントで2位、新潟県は4パーセント

出所 国税庁「酒類製造業及び酒類卸売業の概況(令和5年アンケート)」をもとに作成

ワイン用ぶどうの生産量の推移(全国)

全国のワイン用ぶどうの生産量の推移の棒グラフ(画像)

出所 農林水産省「特産果樹生産動態等調査」をもとに作成

主なワイン用ぶどうの仕向量(2020年)

2020年主なワイン用ブドウの仕向量の棒グラフ(画像)

出所 農林水産省「令和2年産特産果樹生産動態等調査」をもとに作成

このエリアにはどんな特徴があるの?

ぶどうの適地に集積するワイナリー(長野・北信)

  • 長野県におけるワイナリー数(2022年)や日本ワインの生産量(製成数量、2022年)は、山梨県に次いで全国2位。

  • 長野・北信地域は、上田・佐久地域とともに長野県内5か所のワイナリー集積地の一つである「千曲川ワインバレー」に位置付けられている。近年は個人経営のワイナリーが増加傾向にある。

豪雪地帯に立地するワイナリー(上越・魚沼)

  • 新潟県のワイナリー数(2022年)は全国7位、日本ワインの生産量(2022年)は全国5位。上越・魚沼地域は豪雪地帯のため、ぶどう栽培には手間を要するが、地域振興を目的としたワイナリーが立地する。

  • 岩の原葡萄園(上越市)は、1890年に日本のワインぶどうの父ともいわれる川上善兵衛が設立した全国有数の老舗ワイナリー。ワイン熟成庫である雪室を併設。日本ワインコンクールの金賞をたびたび受賞する。

  • 越後ワイナリー(南魚沼市)は、1975年に設立。新潟県で最初に垣根仕立てのぶどう栽培に取り組んだほか、2001年に雪中貯蔵庫を備えた。

ワイナリーの分布 信越県境エリア

信越県境エリアのワイナリーの分布図(画像)

出所 国土地理院数値地図および関東信越国税局「酒蔵マップ(令和3年6月現在)」をもとに上越教育大学橋本准教授作成(上越教育大学出版会発行「越境アプローチによる地域学習のすゝめ」より抜粋)

ワイン用ぶどうの生産への高い貢献

  • ワイン用ぶどうの生産量(収穫量、2020年)は、長野県が全国1位。その中で、長野・北信地域を含む千曲川ワインバレーは、欧州系品種の栽培に適しているとされる。
  • 国産赤ワイン用品種の中で最も多く使用される「マスカット・ベーリーA」は、岩の原葡萄園の創業者である川上善兵衛が1万を超える品種交雑の中から生みだした品種。日本のワインぶどうの父とされる理由の一つとなっている。

その特徴が生まれたのはなぜ?その特徴から生まれたものは何?

ワインの因果関係図 [画像ファイル/314KB]

水はけが良い土地

  • ワインの質は、原料であるぶどうの質で決まる面が大きいとされる。
  • 長野地域の扇状地は、水はけが良く、ワインの原料であるぶどう栽培に適している。欧州のぶどう産地と比べても、雨は多いものの、水はけは優れているとされる。

(関連ページ)01「地形」10「果物」

盆地特有の気候(降水量・日照・温度差)

  • 長野地域の特徴である、降水量が少ない、日照時間が長い、昼夜の温度差が大きいことなどが、ぶどう栽培に適している。
    (長野県は南北に長く、各地で気候条件が少しずつ異なるため、多様な品種のぶどうを栽培している。)

(関連ページ)02「気候」10「果物」

ぶどうの栽培環境の変化

  • 年は、温暖化による気温の上昇により、長野県内の比較的標高の高い地域でも、フランス原産のワイン用ぶどう(メルローやシャルドネなど)の栽培が可能となっている。

(関連ページ)02「気候」10「果物」

新たな産業の必要性

  • 長野県では、昭和初期まで基幹産業の一つであった蚕糸業が衰退し、桑畑等の一部がぶどう畑に転換した歴史がある。
  • 新潟県では、豪雪地帯における農家の生活向上を目指し、米栽培だけでなく、山林などを活用できるぶどう栽培とワインづくりを選択した事例がある。

(関連ページ)06「米」14「繊維」

風土に合う栽培技術の開発

  • 新潟県の豪雪地帯は、ぶどう栽培の適地とはいえないが、川上善兵衛の膨大な文献調査や交配実験などにより、ぶどう栽培とワインづくりの技術を開発した。
  • 越後ワイナリーにおいても、10年にわたる試行錯誤の末に栽培技術を確立した。

技術向上のための支援制度

  • 長野県では、味と品質が優れたワインなどを認定する日本初の制度「長野県原産地呼称管理制度」を2002年に創設(2021年からは国税庁長官指定による「GI長野」へ移行)。長野県産ワインの品質向上や品質保証に力を入れている。

他の産業への波及

  • 古い歴史を持つワイナリーは、その生産施設自体が観光資源となる。
  • ワイナリー周辺にレストランやショップ、ミュージアム等が集積し、交流人口増加や地域経済等への貢献も期待できる。

  • りんごを用いたシードル開発を行うワイナリーも誕生した。

ライフスタイルの提案

  • その土地で育ったぶどうを使い、その土地で作ったワインを地元の食材や風景と共に楽しみ、語らうことのできるワイナリーは、スローフード・スローライフといった新たな暮らしの楽しみ方を提案し、定住先としての魅力向上にも貢献する。

これまでとこれからについて考えよう!

 社会の変化は、地域資源に様々な影響を与えています。担い手不足や環境変化といった課題に直面する一方で、新しい技術との融合や、これまでの価値を見直すことで、新たな可能性が生まれることもあります。

 社会の変化が地域資源にもたらすものや地域資源が今後直面する課題、あるいは地域資源が秘める新たな可能性などを考えてみましょう。

このページに関するお問い合わせ先

上越市

〒943-8601 新潟県上越市木田1-1-3電話:025-526-5111Fax:025-526-6111

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