酒類全体の生産量は減少から横ばい傾向にある中、ワインを含む果実酒は増加から横ばい傾向にあります。このうち日本国内で栽培したぶどうを100%使用して国内で醸造したものを「日本ワイン」といいます。
日本のワインづくりは、生食用のぶどう栽培が盛んであった山梨県から明治時代に始まり、明治政府は殖産興業政策の一環としてぶどう栽培やワイン醸造を振興しました。1927年には川上善兵衛が「マスカット・ベーリーA」を交配し、その振興に大きく貢献しました。
ワインの消費は東京オリンピックの頃から拡大し、その後いくつかのワインブームを経て今日に至っています。2003年からは国産ワインコンクール(現:日本ワインコンクール)が開催され、近年では日本ワインが世界のワインコンクールでも評価を受けるなど品質が向上しています。

出所 国税庁「酒のしおり」をもとに作成

出所 国税庁「酒類製造業及び酒類卸売業の概況(令和5年アンケート)」をもとに作成

出所 農林水産省「特産果樹生産動態等調査」をもとに作成

出所 農林水産省「令和2年産特産果樹生産動態等調査」をもとに作成
長野県におけるワイナリー数(2022年)や日本ワインの生産量(製成数量、2022年)は、山梨県に次いで全国2位。
長野・北信地域は、上田・佐久地域とともに長野県内5か所のワイナリー集積地の一つである「千曲川ワインバレー」に位置付けられている。近年は個人経営のワイナリーが増加傾向にある。
新潟県のワイナリー数(2022年)は全国7位、日本ワインの生産量(2022年)は全国5位。上越・魚沼地域は豪雪地帯のため、ぶどう栽培には手間を要するが、地域振興を目的としたワイナリーが立地する。
岩の原葡萄園(上越市)は、1890年に日本のワインぶどうの父ともいわれる川上善兵衛が設立した全国有数の老舗ワイナリー。ワイン熟成庫である雪室を併設。日本ワインコンクールの金賞をたびたび受賞する。
越後ワイナリー(南魚沼市)は、1975年に設立。新潟県で最初に垣根仕立てのぶどう栽培に取り組んだほか、2001年に雪中貯蔵庫を備えた。

出所 国土地理院数値地図および関東信越国税局「酒蔵マップ(令和3年6月現在)」をもとに上越教育大学橋本准教授作成(上越教育大学出版会発行「越境アプローチによる地域学習のすゝめ」より抜粋)
ワイナリー周辺にレストランやショップ、ミュージアム等が集積し、交流人口増加や地域経済等への貢献も期待できる。
りんごを用いたシードル開発を行うワイナリーも誕生した。
社会の変化は、地域資源に様々な影響を与えています。担い手不足や環境変化といった課題に直面する一方で、新しい技術との融合や、これまでの価値を見直すことで、新たな可能性が生まれることもあります。
社会の変化が地域資源にもたらすものや地域資源が今後直面する課題、あるいは地域資源が秘める新たな可能性などを考えてみましょう。