将来にわたり持続可能な地域を実現するためには、地域が本来持っている個性・特徴を地域に関わる人々が再認識し、愛着と誇り、未来志向を持って地道に磨きをかけ、地域の存在感や存在価値を高めていくことがこれまで以上に重要になってきます。
では、その地域が持っている個性・特徴とは一体どのようなものでしょうか。そしてそれを未来につないでいくためにはどうすればよいのでしょうか。
今回地域が持っている個性・特徴を「地域資源情報」としてとりまとめるに当たり、上越市を起点としつつ、上越地域や魚沼地域、県境を越えた長野県の北信・長野地方などの広域的な地域に着目し、全国的な視点から特徴的と考えられる地域資源の情報をとりまとめるとともに、その因果関係を総合的に整理しました。
このページは、当研究所で執筆を担当しました上越教育大学出版会発行「越境アプローチによる地域資源学習のすゝめ」(外部リンク)<外部リンク>の第1部の内容をもとに作成しました。地域と学校が連携し、子どもたちが主体的に学ぶヒントが詰まっています。ぜひ、地域での学びにご活用ください。
地域には、私たちの暮らしを支え、その暮らしが育んできた豊かな自然環境、都市基盤(インフラ)、産業、文化などが存在します。それらの中から、地域ならではの特徴を持つもの・ことを「地域資源」として着目しました。
このエリアには数多くの地域資源が存在しますが、今回はその一部を取り上げ、20のテーマを設定しました。
それぞれの地域資源は相互に影響を及ぼし合いながら盛衰を繰り返してきました。例えば、自然環境は都市基盤、産業、文化の成り立ちに影響を与え、都市基盤は自然環境の上に形づくられ、産業などの成り立ちに影響を与えています。そして、それらの地域資源は私たちの暮らしを守り育むとともに、私たちの暮らしがそれらの地域資源を守り育み、時には負の影響を与えることもあります。本調査では、それぞれの地域資源が持つ特徴に加え、このような地域資源同士の関係性にも着目して整理を行っています。
新潟県上越市を基点としつつ、新潟県(越後)と長野県(信濃)の県境付近に位置する市町村で構成する広域エリアとし、ここでは「信越県境エリア」と名付けました。新潟県内の範囲は上越地域と魚沼地域、長野県内は北信地域、長野地域の大半、大北地域の一部であり、かつての郡の範囲でいえば、新潟県頸城郡と魚沼郡、長野県水内郡、高井郡、更級郡、北安曇郡の一部にほぼ該当します。エリア内の面積は約7,700平方キロメートル、人口は97万人です。
県境付近には、2,000m級の山々を持つ3つの国立公園(中部山岳、妙高戸隠連山、上信越高原)や標高1,000m級の関田山脈などの山岳地帯が存在し、全国トップクラスの豪雪地帯でもあります。また、一級河川の姫川、関川、信濃川(千曲川)が長野県側から県境を越えて新潟県側の日本海に注いでいます。このほか、日本海に面する平野部、起伏に富む丘陵地帯、信濃川水系の盆地などで構成されています。