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11 日本酒

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印刷用ページを表示する 掲載日:2025年11月1日更新

はじめに

 日本では、昔から米を原料にした酒が飲用されていましたが、平安時代には宮廷の中で行事用の酒が造られるようになり、江戸時代中期頃までには現代とほぼ同じ技術が確立しました。酒づくりに適した冬季に醸造する方式が定着し、職人である杜氏・蔵人が誕生したのもこの頃です。

 室町から江戸時代にかけては、奈良、伏見、伊丹、灘などの近畿地方が一大産地でしたが、明治時代以降は全国的に技術が向上し、各地に名酒が生まれました。かつての日本酒は地域ごとに味が異なる傾向にありましたが、最近では酒蔵ごとに異なる傾向にあります。

 日本酒の出荷量は、酒類全体の出荷量が横ばい傾向にある中、焼酎やリキュール類などに押されてここ30年間で半減していますが、ヒット商品の誕生や海外への輸出などにより活路を見いだす地域や酒蔵も数多くあります。

酒類別生産量の推移(全国)

全国の酒類別生産量の推移グラフ(画像)

出所 国税庁「酒のしおり」をもとに作成

全国新酒鑑評会の金賞受賞数(都道府県別)

都道府県別、全国新酒鑑評会の金賞受賞数(画像)新潟県は129回で4位、長野県は110回

備考 過去10回(2014~23年)の受賞数を集計
出所 酒類総合研究所ホームページをもとに作成

日本酒の生産量・製造場数(都道府県別・2021年度)

2021年度日本酒の生産量と製造場数の棒グラフ(画像)新潟県は製造場数101か所で1位、生産量2万8千キロリットルで2位、長野県は製造場数85か所で3位、生産量は5千キロリットル

出所 国税庁「令和3年度統計年報(酒税)」をもとに作成

このエリアにはどんな特徴があるの?

数多くの酒蔵が集積

  • 酒蔵の数(清酒の製造場数、2021年度)は、新潟県が全国1位、兵庫県に次いで長野県が全国3位。全国524か所の税務署管内別にみると、最も多いのは京都府の伏見税務署管内の27場であり、長野税務署管内、上越市の高田税務署管内がともに16場で全国5位に位置する。

  • 生産量(製成数量、2021年度)は新潟県が全国3位、長野県が全国13位。酒蔵数に比べて多くないことから、比較的規模の小さい酒蔵が多いといえる。

高い評価を受ける日本酒の品質

  • 全国新酒鑑評会などで高い評価を受ける日本酒が数多く存在する。

  • 酒づくりの職人である越後杜氏は、岩手県の南部杜氏、兵庫県の丹波杜氏とともに日本三大杜氏とされる。越後杜氏の中で主要な位置を占める頸城杜氏は上越地域で活躍した。

  • 長野県では、県外から杜氏を雇うことが多かったが、小谷や飯山はもともと杜氏の出身地であった。

酒造の分布 信越県境エリア

信越県境エリアの酒造の分布図(画像)

出所 国土地理院数値地図および関東信越国税局「酒蔵マップ(令和3年6月現在)」をもとに上越教育大学橋本准教授作成(上越教育大学出版会発行「越境アプローチによる地域学習のすゝめ」より抜粋)

酒米の生産が盛ん

  • 酒米の生産量(2022年)は、兵庫県に次いで新潟県が全国2位、長野県が全国5位。
  • 酒米のうち「山田錦」に次いで2番目に生産量の多い「五百万石」は、新潟県での生産量が全国1位、上越地域はその一翼を担っている。

  • 3番目に生産量の多い「美山錦」は、長野県での生産量が全国1位、北信・長野地域はその一翼を担っている。

日本酒の消費が盛ん

  • 一人当たりの2020年度清酒消費量(酒米の生産量は、農林水産省「令和4年産米の農産物検査結果」、清酒消費量は「酒のしおり(令和4年3月)」及び「国税庁関東信越国税局令和2年度統計情報」による)は、新潟県が全国1位、長野県が全国7位。さらに新潟県内の魚沼地域(小千谷・十日町税務署管内)では、その県内平均を上回っている。 

その特徴が生まれたのはなぜ?その特徴から生まれたものは何?

日本酒の因果関係図 [画像ファイル/366KB]

豪雪地帯が生み出す水や気温

  • 雪は、酒づくりに必要な豊富できれいな水を供給する。
  • 潟県の水質は軟水が多く、発酵がゆっくり進み、まろやかでさっぱりとした酒になるとされる。
  • 冬期間の気温が極端に低くならず酒蔵が雪で覆われるため、温度が一定に保たれ空気中の雑菌も抑制されるなど、酒づくりに欠かせない微生物にとって優れた環境を生み出すとされる。

(関連ページ)01「地形」02「気候」

農閑期の産業

  • 日本有数の豪雪地帯である新潟県では、冬期間の出稼ぎが盛んに行われた。特に、日本酒における「寒造り」の普及拡大により、冬季が農閑期に当たる農民などにとって、杜氏としての出稼ぎは都合の良いものとなった。
  • 酒づくりは根気のいる仕事であり、雪国の人の粘り強さが向いていたといわれることもある。

(関連ページ)06「米」

米どころ

  • 古くから米どころであり、酒づくりの原料が豊富に存在した。新潟県の農村部では、地主層が小作米の余剰分を使って酒づくりに着手したといわれている。
  • 米どころとして知られる木島平村は「金紋錦」の主産地。近年の味多様化、地産志向の高まりを受け、栽培面積を増やしている。
  • 米どころの飯山は、かつて杜氏の出身地でもあった。

(関連ページ)06「米」

技術継承への努力

  • 新潟県では、全国唯一の日本酒専門の県立機関「新潟県醸造試験場」で技術指導や酒造好適米の開発を実施。新潟清酒学校や県立吉川高校(現在廃校)でも技術を継承した。
  • 長野県では、大正時代に広島などから杜氏を招いて技術指導を受け、昭和初期には品評会で高い評価を受ける。近年は若い経営者が自ら杜氏となり独自の酒づくりを探求し、高い評価を受ける。

街道沿いの宿場町の存在

  • 峠を越える街道がいくつもあり、その街道沿いや宿場町に多くの酒蔵ができた。
  • 長野県は峠で分断された宿場町ごとに酒蔵があり、そのことが酒蔵の多さの一因にもなっているといわれる。

(関連ページ)05「交通」

研究開発の努力

  • 新潟県では、就労形態や食生活が変化した高度成長期時代に、県内の酒造業界が一体となって時代の変化に合った新潟らしい淡麗辛口を目指した。
  • 長野県では、全国的な開発競争が激化する中、世界に通用する地酒を目標に据え、産学官で新しい県産の酒米づくりに取り組んでいる。

日本文化を形成する要素

  • 日本酒に合う酒の肴や珍味が生まれた。
  • 伝統的な行事には、日本酒がよく用いられる。

  • 四季の変化がはっきりしている日本では、「花見酒」や「月見酒」など自然を愛でながらお酒を楽しむ文化が育まれた。

地域づくりへの貢献

  • 各酒蔵により、地域の水質を守る運動や、農業活性化、食文化や歴史文化をPRする取組などもみられる。
  • 古くから続く酒蔵のたたずまいは、まちの文化的景観となり地域の観光資源ともなっている。
  • 酒まつりなどのイベントは、観光客の増加や地域のファンづくりのきっかけともなっている。

これまでとこれからについて考えよう!

 社会の変化は、地域資源に様々な影響を与えています。担い手不足や環境変化といった課題に直面する一方で、新しい技術との融合や、これまでの価値を見直すことで、新たな可能性が生まれることもあります。

 社会の変化が地域資源にもたらすものや地域資源が今後直面する課題、あるいは地域資源が秘める新たな可能性などを考えてみましょう。

このページに関するお問い合わせ先

上越市

〒943-8601 新潟県上越市木田1-1-3電話:025-526-5111Fax:025-526-6111

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