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15 温泉

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印刷用ページを表示する 掲載日:2025年11月1日更新

はじめに

 温泉は世界各地に存在しますが、日本国内には泉質の多様な3,000か所もの温泉地があり、療養、保養、観光などに積極的に活用されていることから、温泉大国ともいわれています。

 温泉の歴史は古く、日本三古湯といわれる道後、有馬、白浜温泉は古事記に記載されるほか、箱根、熱海、別府などのように長い歴史の中で多くの利用客を集める温泉地もあります。

 一般に、温泉は火山帯に多く存在しますが、掘削技術の進歩などから非火山帯での温泉地も少なくありません。このことから温泉地は全国各地に存在するものの、どちらかといえば東日本や北日本に数多く分布する傾向にあります。

 温泉地での宿泊客数は、バブル経済の崩壊後から横ばいもしくは減少傾向にあり、その後インバウンド(訪日外国人客)により増加に転じた地域もありますが、新型コロナウイルス感染症の影響により大きく減少するなど変動がみられます。

温泉地の数と宿泊客数の推移(全国)

1965年から2022年の全国温泉地数の棒グラフと宿泊客数の折れ線グラフ(画像)

出所 環境省「温泉利用状況」をもとに作成

温泉地の数(都道府県別・2022年度)

2022年度都道府県別温泉地数の棒グラフ(画像) 長野県が194か所で2位、新潟県は142か所で3位

出所 環境省「令和4年度温泉利用状況」をもとに作成

このエリアにはどんな特徴があるの?

数多くの温泉地が集積

  • 温泉地数(2022年度)は、北海道に次いで長野県が全国2位、新潟県が全国3位。信越県境エリアには、新潟県内の半数以上、長野県内の3割の温泉地があり、日本有数の温泉集積地ということができる。

  • 全国3,000弱の温泉地の中で、宿泊客数(2010年度環境省資料をもとに集計した山村(2015)による) が多いベスト3は箱根、熱海、別府。信越県境エリアの中で全国ベスト100に入る温泉地には、赤倉・新赤倉、池の平・妙高(妙高市)、越後湯沢、湯田中・渋(山ノ内町)がある。

高い評価を受ける温泉地

  • 江戸期の温泉番付では、最高位の大関として常に草津、有馬が挙がる中で、渋(山ノ内町)、松之山(十日町市)、関(妙高市)、塩沢(南魚沼市)が前頭として評価されていた。

  • 近年様々な団体が行っている総合ランキングによる評価では、野沢や湯田中・渋などが上位に入る。

  • 国民保養温泉地には、六日町(南魚沼市)、小谷、関・燕(妙高市)が認定されている(2022年現在、全国に79か所)。

温泉地の分布 信越県境エリア

信越県境エリアの温泉地の分布図

凡例
文章中に記載のある温泉地

  1. 鵜の浜
  2. 松之山
  3. 六日町
  4. 湯沢
  5. 野沢
  6. 赤倉・新赤倉
  7. 池の平・妙高
  8. 小谷
  9. 湯田中
  10. 地獄谷

備考 2022年3月現在
出所 国土地理院数値地図、新潟県環境対策課資料、長野県薬事管理課資料をもとに上越教育大学橋本准教授作成(上越教育大学出版会発行「越境アプローチによる地域学習のすゝめ」より抜粋)

その他特徴的な温泉地

  • 松之山温泉(十日町市)は、草津、有馬とともに日本三大薬湯と称されることもある。

  • 野沢温泉は、日本屈指の還元作用の強い温泉とされ、肌の若返り効果があるとPRしている。また、温泉を管理する野沢組は、地域コミュニティによる自治運営組織の老舗的存在として注目されている。

  • 越後湯沢温泉の高半ホテルは1075年創業であり、県内最古、全国でも9番目に古い老舗企業。川端康成が小説「雪国」の執筆で滞在した。

  • 地獄谷温泉(山ノ内町)の露天風呂にサルが入浴する様子は「スノーモンキー」といわれ、多くの外国人旅行客から注目されている。

その特徴が生まれたのはなぜ?その特徴から生まれたものは何?

温泉の因果関係図 [画像ファイル/302KB]

火山の多い地形など

  • 火山の多さから、温泉資源には比較的恵まれている。
  • 松之山温泉のように、1,000万年前の地層中に閉じ込められた海水が圧力を受けて温泉となったものもある。

(関連ページ)01「地形」

首都圏からの近さと鉄道の整備

  • 首都圏から比較的近い位置にあり、早期に鉄道が開通したことから、古くから湯治客などが訪れやすい場所にある。

(関連ページ)05「交通」

自治体や民間企業による温泉開発

  • 歴史のある温泉地に加え、地域活性化や住民福祉向上などを目的として自治体が整備した温泉施設や、民間企業による日帰り温泉施設(一部宿泊施設あり)も増加した。

スキー場の整備

  • 豪雪地帯にある温泉旅館は冬季が閑散期となるため、旅館経営者などが中心となってスキー場を整備し、誘客に努めた。
  • その結果、温泉のあるスキー場、あるいはスキー場のある温泉という相乗効果を生み出し、誘客に貢献した。

(関連ページ)16「スキー」

特産品の販売促進

  • 温泉を訪れる人の多さは、りんごなどの果物やその加工品、野沢菜、そばなど特産品の販売促進にもつながった。
  • 温泉旅館での料理に地元の農産物が利用されることによって、地産地消にも貢献している。

(関連ページ)07「そば」10「果物」

リゾート地の発達

  • 妙高高原(赤倉)と志賀高原は、スキー場の存在と相まって大正期の「国際リゾート地」に選定された。
  • 湯沢町は、1982年の上越新幹線開業によって首都圏からの利便性が大幅に向上したことと相まって、温泉付きのリゾートマンションなどの建設が進み、「東京都湯沢町」とも形容された。

魅力的な景観の創出

  • 渋温泉のように歴史的風情ある温泉街や、野沢温泉のように多くの外湯を持つ情緒ある温泉街など、個性的で魅力的な空間を生み出した。それらが温泉地の魅力を高め、観光客を引きつける側面もある。
  • 雪景色の中で入浴する猿(スノーモンキー)が見られる地獄谷温泉など、外国人旅行客から注目を集める温泉地もある。

文化人の訪問

  • 温泉のある高原地帯では、明治期から避暑地としても注目され、多くの文化人が訪れた。
  • 例えば、赤倉温泉を訪れた岡倉天心、野沢温泉を訪れた岡本太郎、越後湯沢温泉を舞台に「雪国」を執筆した川端康成などが挙げられ、彼らが訪れた足跡とともに現在も語り継がれている。

これまでとこれからについて考えよう!

 社会の変化は、地域資源に様々な影響を与えています。担い手不足や環境変化といった課題に直面する一方で、新しい技術との融合や、これまでの価値を見直すことで、新たな可能性が生まれることもあります。

 社会の変化が地域資源にもたらすものや地域資源が今後直面する課題、あるいは地域資源が秘める新たな可能性などを考えてみましょう。

このページに関するお問い合わせ先

上越市

〒943-8601 新潟県上越市木田1-1-3電話:025-526-5111Fax:025-526-6111

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