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03 植生

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印刷用ページを表示する 掲載日:2025年11月1日更新

はじめに

 日本列島は、南北に約3,000kmの長さを持ち、海岸から3,000m級の高山まで様々な地形を有するため、それぞれの地域に応じた多様な生物相が形成されています。中でも植物の分布は、気温と降水量などの影響を受け、緯度に伴う水平分布と標高による垂直分布によって構成されます。

 ある地域を覆っている植物体の総称を「植生」といい、日本の植生は、高山帯、コケモモートウヒクラス域(亜高山帯)、ブナクラス域(夏緑または落葉広葉樹林帯)、ヤブツバキクラス域(常緑広葉樹林帯)の大きく4つに分類されています。

 豪雪地帯を特徴付ける代表的な森林としては、ブナが挙げられます。日本では、北海道の渡島半島から北陸地方に至る日本海側の山間部を中心に分布しています。

植生の分布

日本列島の植生の分布図

凡例

  • 分布図内の、紫色で示した範囲(画像) 高山草原とハイマツ群落城(高山帯)
  • 分布図内の、水色で示した範囲(画像) コケモモ-トウヒクラス域(亜高山帯)
  • 分布図内の、黄緑色で示した範囲(画像) ブナクラス域(夏緑広葉樹林帯)
  • 分布図内の、緑色で示した範囲(画像) ヤブツバキクラス域(常緑広葉樹林帯)

出所 環境省生物多様性センターホームページ

ブナ林の分布

日本列島のブナ林の分布図

凡例

  • 分布図内の、オレンジ色で示した範囲(画像) ブナ林(太平洋側) メッシュ数(インチ)
    • スズタケ ブナ群団 689
    • ヤマボウシ ブナ群集 353
    • ツクシシャクナゲ ブナ群集 4
    • イヌブナ ブナ群宗 256
    • オオモミジガサ ブナ群集 4
    • シラキ ブナ群集 149
  • 分布図内の、緑色で示した範囲(画像) ブナ林
    • チシマザサ ブナ群団 11,773
    • ヒメアオキ ブナ群集 246
    • クロモジ ブナ群集 163
    • マルバマンサク ブナ群集 562
    • スギ ブナ群集 287
  • 分布図内の、紫色で示した範囲(画像) ブナ二次林
    • ブナ ミズナラ群落 9,260

出所 環境省(1993)「緑の国勢調査」

このエリアにはどんな特徴があるの?

多様な植生が集結

  • 日本海の沿岸部は、落葉広葉樹林帯常緑広葉樹林帯の境界に位置する。
  • 妙高山や白馬岳の山頂付近など、標高の高い地域では、亜高山帯高山帯の植生も見られる。
  • ツバキを例にとると、上越市は、日本海側の雪の多い地域に自生するユキツバキ、温暖な地域に多いヤブツバキ、両者の中間種であるユキバタツバキが分布する数少ない地域といわれている。

典型的なブナ林帯が発達

  • 典型的といえるブナ林帯が広がる。日本の自然100選の天水越(十日町市)、森の巨人たち百選の森太郎 (飯山市鍋倉山、2022年に倒伏)をはじめ、その象徴となるブナの木が数多くある。
  • 比較的標高が低く人里に近い所でも、ブナの純林を見ることができる。例えば上越市三和区岡田にあるブナの群落は、標高200m未満の丘陵地にある大変珍しいものとされる。
  • ブナを市町村の木に選定する自治体は、全国では50程度と推察される中で、信越県境エリアには7つも存在する。

ブナ林の分布 信越県境エリア+α

信越県境エリアのブナ林野分布図

凡例

  • 分布図内の、紫色で示した範囲(画像) ブナ自然林(日本海側の代表的なブナ林
  • 分布図内の、緑色で示した範囲(画像) ブナ二次林(ブナ ミズナラ群落)
  • 赤字…国立公園
  • 青字…ブナを市町村の木とする自治体

象徴的なブナ林の例

  1. 浅草岳(魚沼市)
  2. 三和区岡田(上越市)
  3. 美人林(十日町市)
  4. 天水越(十日町市)
  5. 鍋倉山(飯山市)
  6. カヤの平(木島平村)
  7. 奥裾花(長野市)

出所 環境省「5万分の1現存植生図」(自然環境保全基礎調査植生調査1979~98)および各市町村ホームページなどをもとに上越教育大学橋本准教授が作成した地図を元に加工(上越教育大学出版会発行「越境アプローチによる地域学習のすゝめ」より抜粋)

自然保護活動に積極的

  • 妙高戸隠連山国立公園をはじめ、保護・管理すべき優れた自然が存在する国立公園が3か所ある(2023年現在、全国の国立公園は34か所)。
  • 志賀高原は、生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目的としたユネスコエコパークに登録されている(2023年6月現在、全国のエコパークは10か所)。
  • 鍋倉山(飯山市)のブナ林帯では、かつて営林署による伐採計画が持ち上がるものの、最終的には中止となる。これは地元の自然保護運動が国の方針を変えた日本初の事例ともいわれる。

その特徴が生まれたのはなぜ?その特徴から生まれたものは何?

植生の因果関係図 [画像ファイル/263KB]

多様な地形

  • 高低差が大きく、海岸から高山まで多様な地形がコンパクトにまとまった地域であることから、比較的身近に多様な植生を見ることができる。

(関連ページ)01「地形」

豪雪地帯

  • 豪雪地帯であることから、ブナなど豪雪に対して強い樹木やユキツバキなど豪雪に適応した植物が見られる。
  • 太平洋側の積雪の少ない地域のブナ林では、ミズナラなどの混合林が多く見られるが、日本海側の積雪の多い地域であるほどブナの純林が発達し、他地域では生育できない低標高地域でもブナが生育する。

(関連ページ)02「気候」

自然保護

  • 豪雪地帯であるが故に開発が進みにくく、比較的身近に森林等が残ったという側面もある。
  • ブナ林の伐採計画が持ち上がり、自然保護運動によって中止となった事例もある。このことは、雪国の暮らしの中で、自然が果たす役割を実感する人々がいたことも一因といえる。

保水能力の発揮(天然のダムの役割)

  • ブナ林などの森林は「緑のダム」などともいわれ、河川へ流れ込む水の量を安定させる働きを持っている。

(関連ページ)04「エネルギー」

生活道具などの生産

  • ブナ以外の樹木が自然に育ちにくい豪雪地帯では、薪炭材としての利用だけでなく、家屋の梁や農具の柄・椅子などの材料にも使われた。

米づくり・酒づくりの発達

  • ブナ林の土壌を通過したきれいな水は、おいしい米や酒づくりにつながる。

(関連ページ)06「米」11「日本酒」

海の幸・山の幸の発達

  • ブナ林では、ぶなしめじ、なめこ、まいたけなどのきのこを採取できる。
  • 豪雪地帯のブナ林では、柔らかく良質な山菜が採れる。
  • ブナ林の土壌を通過した水は、地下水や河川を経由し、海藻やプランクトンを育てる栄養素を海まで運び、海の幸を育む。

(関連ページ)09「きのこ」

自然環境を生かした観光資源の発達

  • 典型的なブナ林帯や高山植物の存在などにより、各地域においてエコツーリズムや森林セラピーなど、自然環境を活かした体験観光メニューが開発されている。

(関連ページ)17「ニューツーリズム」

これまでとこれからについて考えよう!

 社会の変化は、地域資源に様々な影響を与えています。担い手不足や環境変化といった課題に直面する一方で、新しい技術との融合や、これまでの価値を見直すことで、新たな可能性が生まれることもあります。

 社会の変化が地域資源にもたらすものや地域資源が今後直面する課題、あるいは地域資源が秘める新たな可能性などを考えてみましょう。

このページに関するお問い合わせ先

上越市

〒943-8601 新潟県上越市木田1-1-3電話:025-526-5111Fax:025-526-6111

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